大雨の時期、厳しい暑さの季節に入り、天気予報への関心が高くなっている。こうした情報について日々観測と発信にあたっているのが各地にある気象台だ。気象台は「より早く、より細かく、適切に」情報発信ができるよう進化を続けている。
記録的な大雨が静岡県内に

2023年6月2日台風と前線の影響で、静岡県内は記録的な大雨となった。大雨警報や洪水警報、線状降水帯の発生を知らせる情報などが相次いで出された。

こうした情報を受け、私たちは帰宅を早めたり、安全な場所へ身を寄せたりしている。
この大雨で避難した人は「2022年の台風の時は、避難しようと思った時にはもう遅くて避難できなかったので、今回は早めに避難した。」などと話していた。
生活に欠かせない気象台の情報

気象の観測や調査・研究を通して、災害の予防に加え、交通安全、産業振興にも貢献するのが、気象台の役目だ。

本谷育美アナウンサーと小塚恵理子気象予報士が静岡地方気象台でまず目にしたのは雨量計だ。
本谷アナ:
カタン、カタンと、水がたまると落ちていくんですね
小塚気象予報士:
カタンとなったことで雨が計測されているんです

静岡地方気象台・鶴橋 茂大 気象情報官:
1回カタンとなると0.5ミリの雨が降ったことになるので、2回カタンカタンとなれば1ミリの雨を観測したことになります

見せてもらったのは昔 使っていたもので、いま実際に観測に使用しているものは、外部からの影響を受けずに適切な観測が行えるよう、設置されている。

地震などでも枡が傾くことはあるため隣に設置している「感雨器」と両方で観測されると「雨」が降ったと記録されるそうだ。
精度の高い情報発信へ

近年、大きな災害が多発し、気象情報への信頼・期待が高まる中、最新機器を取り入れながら、より精度の高い情報発信を目指している。

静岡地方気象台・鶴橋 茂大 気象情報官:
上空の水蒸気量を観測するために設置された、マイクロ波放射計という機械になります。大雨によって、毎年のように災害が全国で発生していますが、その中で注目されているキーワードとして、「線状降水帯」が挙げられます

「線状降水帯」は、発達した積乱雲が直線状に並ぶ現象だ。同じ場所で大雨が降り続き、記録的な雨量や大きな被害をもたらすことが多くある。2023年の台風2号と前線に伴う大雨では、前日に「線状降水帯の発生予測」が出され、6月2日には、静岡県で4回発表された。

「マイクロ波放射計」は上空の水蒸気量を観測する機器だ。気象庁が2022年度、静岡を含めた全国17カ所に設置した。実は、今はまだデータを集める段階で、実用化はこれから。線状降水帯の予測の精度が、今後さらに上がることが期待されている。
より早く、より細かく適切に

静岡地方気象台・鶴橋 茂大 気象情報官:
線状降水帯をはじめとするピンポイントの予測はなかなか難しいですが、できるところから少しずつ進めていき、数年後にはより早く、より細かく適切に発表できればと考えて取り組んでいます

災害の危険性を少しでも早く知らせるために。観測網の強化、予測技術の向上を目指す取り組みが、日々続けられている。
(テレビ静岡)