秋田県北部を流れる米代川を水運に、天然秋田杉をはじめとする良質な木材の交易の場として栄えた秋田・能代市。かつては「東洋一の木都(もくと)」と呼ばれた能代市にある木材加工会社が、いま世界から注目を集めている。

その秘密は、県内でいち早く取り入れた機械と職人の技の融合。有名オーディオメーカーや大人気のテーマパークなどから注文が舞い込んでいる。

イタリア製機械を自在に操り評判に

能代市二ツ井町にある木材加工会社「県北パネル」。住宅で使用する木のカウンターや階段などの製造を手掛け、材料のカットから塗装まで、自社で一貫して担っている。

県北パネル・倉持美帆取締役:
秋田でいち早く導入した機械と職人技で、たくさんの注文をいただいています

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ひときわ目を引くのが、イタリア製の加工機械。県内でいち早く導入した。

県北パネル・倉持美帆取締役:
いま一番新しい。自分の加工したいものを、そのまま作れる機械になります

これまで木材を加工するときは、作業ごとに刃を取り換えるなどの調整が必要だったが、この機械はその必要がない。

導入したことで、作業にかかる時間が大幅に減ったうえに、加工の幅が広がった。

機械には20種類の刃が付いていて、どの刃をどういう順番で使うのかプログラミングし、機械が正しく動くように道筋を立てる。

そこに至るまでには訓練が必要だ。使いこなせるようになるまで5年ほどかかったという職人のところには、いまやその高い技術と品質を求めて世界から注文が入る。

ミリ単位の精度を追求

いま生産しているのは、世界的に有名なメーカーのヘッドホンのパーツだ。

「ハウジング」と呼ばれるヘッドホンの外観を決めるパーツは、音を響かせる壁のようなもので、音質を決める重要な役割を持っている。

職人:
注文先の寸法がすごく細かくて、ミリ単位の精度を求めて作っています。組み立てる際にずれがあると音漏れの原因になると思うので、そこは気を付けて作っています

商品が完成したときは木目が生かされるため、表面を滑らかに仕上げる。

このほか、大人気のテーマパークの製品も手掛けている。

県北パネル・倉持美帆取締役:
これは某テーマパークのアトラクションで使われるみたいなんですけど、何に使うかはわかりません

平均年齢は39歳

オリジナルの商品など、少ない量の注文も受けてきた県北パネル。短い期間で質の高い商品を提供するノウハウを作り上げた。

国内外に誇る木都・能代ならではの加工技術をもつ県北パネルだが、現場には若い社員の姿が目立つ。

社員の平均年齢は39歳。若い世代とともにその感性で新しい要素を取り入れ、企業としてのさらなる成長を目指す。

県北パネル・倉持美帆取締役:
秋田でも、日本全国もしくは世界に誇れるものづくりができることを、若い世代の人にも伝えていきたいし、木材の加工の仕事のイメージを「すごく格好良いものなんだ」というふうにしていきたい

(秋田テレビ)

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