秋田県内には「じゅんさい」や「せり」「しぼり大根」など多くの伝統野菜がある。中でも見た目のインパクトが大きいのが「秋田フキ」だ。サイズは日本一といわれるこの「秋田フキ」が今、存続の危機を迎えている。農家と企業がタッグを組み、「秋田フキ」を後世に残そうと活動している。

「地域の助けになりたい」企業が立ち上がる

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佐藤奈都美アナウンサー:
県内の企業が、秋田の伝統野菜を守るために立ち上がったのですが、その伝統野菜とは「秋田フキ」です

あきた観光レディーが秋田フキを刈り取っている様子
あきた観光レディーが秋田フキを刈り取っている様子

秋田フキは、秋田市仁井田で江戸時代から栽培されている。特徴はその大きさで、大きいものは茎の長さが2メートル、葉の直径が1メートルにまで成長する。

長い伝統を持つ「秋田フキ」だが、栽培農家は現在2軒だけ。このうち1軒を担う佐藤政男さんは86歳と高齢のため、2023年でフキの栽培をやめようと考えていた。

秋田フキ育成農家・佐藤政男さん:
近いうちなくなると思う。農家として金にならないし、肥料や農薬などの手間がかかるので、自分で好きだからこそやってきたことであって、自分としては十分やったつもり

この秋田フキを存続するために立ち上がったのが、秋田市牛島に本社を置く「ホクシンエレクトロ二クス」。普段は電子機器や医療機器の部品の製造にあたっていて、「農業」とは関わりがなかったが…。

ホクシンエレクトロ二クス・佐藤宗樹社長:
弊社では開発の業務を行っている、新しいものを一から作り出そうと。そのチームが、なくなっていく秋田フキを何とかしたいという思いが強かったので、秋田フキに注目して調べている。このままだと秋田フキがなくなっていく可能性があるので、農家とタイアップして秋田フキを育てていければ

“地域の助けになりたい”ホクシンエレクトロニクスの活動が始まった。

佐藤さんに教えてもらいながら社員もお手伝い
佐藤さんに教えてもらいながら社員もお手伝い

社員が継続的に畑に出向いて肥料をまいたほか、強い日差しと虫の侵入を防ぐ柵を立て、農家の佐藤さんに一つ一つ教えてもらいながら栽培にあたっている。

「秋田フキ」の可能性を探る

大きく成長した秋田フキ。6月には、市民を招いて刈り取りの体験会が予定されている。

ホクシンエレクトロ二クス・佐藤宗樹社長:
ことしは栽培のお手伝いの1回目。これから栽培する農家が減る可能性があるので、私たちが引き継ぎながら、さらに秋田フキを栽培してくれる人にバトンタッチできればという思いと、できることなら秋田フキを使った商品を開発できれば

提供:ホクシンエレクトロ二クス
提供:ホクシンエレクトロ二クス

現在、秋田フキはほとんど食べられることがなく、パウダーに加工され、お茶やあめ、もろこしなどの菓子の原料にされている。

ホクシンエレクトロニクスは、販路拡大やフキの可能性を探るため、6月に刈り取るフキの成分を研究することにしている。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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