G7サミットで広島訪問中の各国首脳は19日、原爆資料館で被爆者の小倉桂子さん(85)から被爆証言を直接聞いた。英語で被爆証言と核兵器の恐ろしさを伝える小倉さんの言葉に各国首脳は、真剣に耳を傾け、励ましの言葉をかけたという。そのときの様子などお話しを伺った。

首脳らからは励ましの言葉も 

小倉桂子さん(85):
皆さんが本当に一生懸命私の話を聞いてくださったことが、とても嬉しかったです。実際お一人お一人、握手してくださったんですね。そして励ましの言葉もいただいた。そんなこと考えてもいなかったんです

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小倉さん:
「ありがとうございます。広島にいらしてくれて」というのが第一声でした。「広島は皆様を歓迎します」とか、「私のお話を聞いてくださるなんて、とても光栄に思います」という言葉からスタートしました

石井百恵記者:
Q:時間はどのくらい
小倉さん:
すごく長く聞いていただいたという印象ですね。5分かなと思ったけど、倍ぐらいはお話聞いていただいたかなと思います

石井記者:
Q:小倉さんの実際の被爆体験を語られたということですか?
小倉さん:
私がどこで、どんなふうに被爆したかをお話しました。私としては、実体験をしていただきたいので、そのまま、ピカッと光った次に爆風が来て、私は吹き飛ばされて気を失って、目が覚めると、こうだったという風に時系列でお話しました。それは、私が毎日のように海外の人に話してることなので、ごく自然に全然緊張しませんでした

小倉さん:
だけど、「核兵器と通常兵器との違い」、それだけは、はっきりお話しようというのが、私の気持ちでした。皆さん、とても熱心に聞いていただきました

核兵器がいかに長く人を苦しめるか ヒロシマのリアリティは伝わったと思う

石井記者:
Q:小倉さん以外のお話もされたんでしょうか?
小倉さん:
佐々木禎子(さだこ)ちゃんの話をさせていただいたんですね

小倉さん:
2歳の時に被爆し、10年後に白血病を起こして亡くなった彼女が、鶴を折った話をいたしました。どうしてかというと、私が禎子ちゃんの話をすれば、放射能によって、核兵器で亡くなったそのリアリティさが伝わると思いましたので

小倉さん:
私は禎子ちゃんのお母様にもお会いしてるので、それを付け加えて話させていただいたのは、これは本当の話ですよと。本で読んだのと違います。私は見たんですよっていうのを感じていただきたかったんですね

小倉さん:
だからみんな首脳の方々は、まるで自分がそこにいたかのように、私が禎子みたいに、そうなんだっていうふうに思い起こせて、重ねながら聞いてくださったんですね。でも、通常兵器と核兵器の違い、何が怖かったかっていうのをお話したかったから。それを伝えられるのは、禎子ちゃんのお話だと思う

石井記者:
Q:その場所で誰かがなくなるだけじゃなくて、何年後かにも亡くなる人がいる。そういった怖さっていうのが伝わるっていうのは、とても大きなことだったのかなと思うんですけれど、手応えはありますか?
小倉さん:
皆さんも父親母親だから、自分の子どもたちにも思いをはせていただきたいと思ってお話をしました。それを今、広島で感じてほしいなと。それと一番怖かったことということで、通常兵器と核兵器がいかに違うか。核兵器がいかに長く人々を苦しめるか、それを感じていただきたかったんですね。それは伝わったと思います

小倉さん:
被爆で私が見たこと、感じたこと、匂い。それをそっくり感じていただいたと思います。つまり、広島の持つリアリティは、単なる絵空事ではなく、ここで起きたということなのが彼らの心を動かすと信じてます

原爆の子の像~折り鶴のメッセージを世界の若者に

衣笠梨代アナウンサー:
Q:今回、世界のリーダーに伝えることができたことで、平和のメッセージを若い方に伝える意味でも本当に大きいんじゃないかと思うんですがいかがでしょうか?
小倉さん:
私がお伝えしたのは、まず原爆の子の像ですね。世界からたくさんの鶴が送られてきている

小倉さん:
そして広島を出発点として、広島でここから何かをしようと皆さん感じていただく、広島から変わってくださいという、そのメッセージをあなたが伝えるんです。私の役目は、みんなに心のろうそくに火をともすって申しましょうか、やる気を起こしていただくことだと

世界から折り鶴が「原爆の子の像」に
世界から折り鶴が「原爆の子の像」に

小倉さん:
話の内容よりも、やるぞという気持ちを持っていただいたり、こっちだよと方向を示させていただくことだと思うので、もう今回は特にありがたいなと思いました

野川諭生アナウンサー:
Q:首脳たちの何か特に心に残った反応であったり、励ましの言葉というのはありますか?
小倉さん:
すごく興味を持ってくださって、特に奥様たちは「あなたの書いた本があるなら見たいわ」とおっしゃった

アメリカの人たちに核兵器のリアリティを知ってもらいたい

モーリー・ロバートソンさん:
原爆を投下した当事国として、アメリカの現職大統領が広島を訪れるのは、オバマ大統領のときにはあったのですが、これだけ長い時間広島に滞在し、そして世界の問題を各国で話し合うというのは、本当に画期的なことだと思います。そしてアメリカ国民もあまり原子爆弾に関して歴史教育を受けていないという事実がありますので、これをきっかけに、より多くの人たち、アメリカ人が直接広島を訪れるきっかけになるといいなと思いました

小倉さん:
ありがとうございます。私はそれを願いました。大統領が言い出したということで、アメリカの人たちに知っていただきたいんですね。実は私、先日はアメリカのABCニュースで1時間ほどテレビ出演をいたしまして、アメリカの皆さんにお話をさせていただいたんですね。大統領が今から広島にいらっしゃるんだけれども、どう思うって

小倉さん:
皆さんがとても興味を持っていらしたんで、大統領もですけど。アメリカの国民お一人お一人が、広島、長崎、核兵器というのを知っていただく一番いいチャンスだと思います。皆さん、お願いしますって、そのときは申しました

2022年 米アイダホ大学での講演
2022年 米アイダホ大学での講演

小倉さん:
そして、今回も広島、核兵器の持つリアリティというものは、きちんとお話できたと思います

小倉さん:
核兵器は決して大きな威力だけの爆弾ではないということ。そのためには、テーマを放射能とか、それによって未来まで続く悲劇を自分の心の中に入れながらお伝えしました

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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