福岡市西区今津にある「子どもの村福岡」。福岡市のNPO法人「SOS子どもの村JAPAN」が運営している。

この記事の画像(11枚)

橋本真衣アナウンサー:
とても風が気持ちいいです。開放的な空間に1軒家がぐるっと並んでいます。そしてその真ん中には、緑いっぱいの広い庭があります

“育児疲れ”を感じる人が子どもを預けられる場所に

広い庭には砂場や鉄棒などがあり、一見、住宅街のようなのだが、実は出産などで一時的に子育てができなくなったり、さまざまな理由で「育児疲れ」を感じたりしている保護者が、子どもを預けられる場所になっている。

ここで働く森園ゆかりさんに施設を案内してもらった。

「子どもの村福岡」・森園ゆかりさん:
子どもたちが、走り回れるぐらい広いです。この椅子の上で寝転んで、寝てしまう子もいるんですよ

窓が大きく、開放的な空間になっているリビング。床にはマットが敷かれていてキッチンとの間にはベビーゲートも設置してある。生活感もあって、まるで仲のいい友達の家に遊びに来たようなそんな感じだ。

「子どもの村福岡」・森園ゆかりさん:
子どもにとって日常生活のまま、ここに来て、日常生活の延長で、ここで過ごして、自宅に帰るっていう、あまり変化のない生活ができる

頼れる人がいない…極限まで追い詰められたケースも

「こどもの村福岡」が誕生したのは2010年。当時は5棟全てが家族と暮らせない子どもが「児童福祉の専門家」らの支援を受けながら、里親と生活する場所だったが、現在は、そのうち2棟で最長1週間、子どもを預かる「ショートステイ」として使用されている。

「子どもの村福岡」・森園ゆかりさん:
利用している人は、近くに子どもを預ける親戚とか、頼れる人がいない方ばかりです

背景には、核家族化が進み、近くに頼れる人がいなかったり、ひとり親で仕事と育児の両立に疲れている保護者が増えたりしていることがある。深刻な場合は、育児放棄や虐待につながりかねないとされていて、過去には極限まで追い詰められたケースもあったという。

「子どもの村福岡」・森園ゆかりさん:
大きな荷物を持ったお母さん、子どもを預かったあとに職員が「きょうはどちらから」と聞くと、「DV被害を受けていて、逃げてきて、もう行くところもなく死ぬつもりだった。子どもを預かってもらえると聞いてきた」と。何気ない会話で「実は~」って言う人が、ほかにもいっぱいいて、そういうことだったら利用して下さいって

「ショートステイ里親」の拡充を目指す

高まるニーズの一方で、課題となっているのが受け入れ先の拡充だ。「子どもの村福岡」では、対応できる人数に限りがあって、2022年1年間で715人の利用申し込みがあったにもかかわらず、実際に受け入れることができたのは262人と半数以下だった。

「子どもの村福岡」・森園ゆかりさん:
里親さんのショートステイを結構進めています。ここだけでは足りないですからね。今では市内各区で里親ショートができています

「こどもの村福岡」を運営する「SOS子どもの村JAPAN」では、福岡市とともに地域の子どもを各家庭で短期間預かる「ショートステイ里親」を増やしている。近所で預かってもらえれば、子どもは普段の生活を続けられることになる。

今後は可能な限り、ショートステイ先から学校に通えるように各校区に最低1カ所、里親家庭がいるような状態を目指しているという。

「子どもの村福岡」・森園ゆかりさん:
一人親とかですね、お母さん方、大変な思いで頑張っていらっしゃる。子どもの手を離してしまう前に、気づいた人が支援を差し伸べて、なんとかそこをつないでいくっていうことも大切だと思います

福岡市の里親ショートステイの始まりは、この「子どもの村」がある西区がスタート。ここで培ったノウハウを今、全区に広げている。2019年度は5世帯だった里親も現在は40世帯まで増えていて、関係者は、3年後には60世帯まで増やしたいとしている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。