生理に対する男子生徒の理解を深めて偏見や意識を変えようと、都内の女子中高生が他校の男子生徒らと「生理期間を生きやすく」をテーマにワークショップを開催した。なぜ彼女たちはこの企画を思い立ったのか。そしてその結果は?取材した。
「女子がこんな苦労をしているとは」
女子生徒「私は生理中、腰が痛くてもう死ぬほどつらい」
男子生徒「言葉として生理を聞いたことはあるけれど、自分のお母さんやクラスメイトの女子が、こんなに苦労をしていると感じたことがなかった」
都内にある品川翔英中学・高等学校で先月行われた、男子生徒と女子生徒が生理について一緒に考えるワークショップ。企画したのは、品川女子学院の中学1年生から高校2年生までの有志団体「CLAIR.(クレア)」の18人だ。共学である品川翔英からは中学2年生から高校1年生の男子生徒6人、女子生徒6人の12人が参加した。

「生理をタブー視する社会は問題」
このワークショップに向けてCLAIR.では、「生理をタブー視する社会になってしまったことが、いま一番の社会的な問題であり、早急に解決しなければならない課題」だと考えた。そしてこの活動を通して、「男女問わず生理に対する意識を変えて、女性がより生理期間を過ごしやすくしていき、最終的には男女関係なく困っている人を助け合える社会を創りたい」と考えている。
ワークショップではまずCLAIR.のメンバーから、生理の基礎的な知識について講義が行われ、「男性の生理についての知識不足が、どうジェンダーギャップに繋がっているのか」「社会的な生理の存在の歴史」や「どうして現在生理がタブー視されているのか」についてパワポを使って説明された。あわせてこの企画に協力しているユニ・チャーム「ソフィ みんなの生理研修」の講師による、生理に対する基礎知識と生理用品についての講義も行われた。

「大丈夫?」と「無理しなくていいよ」
ワークショップは男子生徒、女子生徒を含めたグループに分かれた。テーブルには生理用品がおかれていて、生理用品に触れるのが初めての男子生徒たちは、「なぜナプキンの大きさが違う?」などと興味深そうに触っていた。
こうした男子生徒に対して女子生徒は「夜用、昼用がある。寝るときはより長いものが必要」「外出時や学校では薄いコンパクトなものを持ち歩くと便利」などと教えていた。
次はロールプレイだ。生理痛により辛そうにしている女性に対して、男性がどのように接すると女性は助かるのかを一緒に考える。女子生徒のそばには水やお茶、ココアや薬、毛布などがある。ある男子生徒は戸惑いながらも、「大丈夫?」と声をかけたり毛布を被せたりしていた。一方女子生徒からは「生理の時に『大丈夫?』と声をかけてくれるのは嬉しいけど、『無理しなくていいよ、休んでいていいよ』と合わせて言ってくれるとより嬉しい」と伝えた。

男子生徒は積極的に質問してくれた
CLAIR.をまとめている品川女子学院の高校2年生の臼井愛奈さんはこう語る。
「これまでも何校か男子校に行ってロールプレイをやりましたが、生理についてわかっている男子生徒もあまりわかっていない男子生徒も、デリカシーの無い言葉を無意識に選んでしまうこともありました。今回参加した男子生徒のみなさんが積極的に生理のことを知りたいと思ってくれたのにとても感動しました」
同じく高校2年生の伊勢日向乃さんも「ロールプレイを最初にやった男の子は、隣にいる私に『失礼かもしれないですけど、(ナプキンを)何枚ぐらい使うんですか?』と積極的に質問してくれました」という。

男女問わず生理の正しい知識を学ぶ
また共学で初めて行うことに対してメンバー間に悩みもあり、様々な工夫をしたという。
「この後も男子生徒と女子生徒は同じ学校で関係性が続いていく中で、どういう伝え方にしたら理解し合えるようになるのかなとたくさん考えました」(守谷百々花さん)「これまで生理のことをあまり知らなかったのですが、様々な本を読んで当日は布ナプキンをつくって説明しました」(橋本実優さん)

ユニ・チャームの講師は今回「いままでの生理研修とはまた違った反応が得られて手ごたえを感じた」と語った。
「これまで生理は女性だけが保健室に呼ばれて、別々に授業を受けていました。しかし生理に関する理解が進むことで、一緒に授業を行う環境が徐々に整ってきたと思います。今後は性別に関係なく生理に対する意識を変えて、女性がより生理期間を快適に過ごしやすい社会を実現していけたらと思います」
「男女問わず生理に対する正しい知識を学んで、性教育のタブーをなくしていく」
ジェンダーギャップ解消には、こうした取り組みが広がることも必要だ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】