これからの時期、散策や山菜採りなどで山に入る際、注意が必要となるのが「クマによる人身被害」だ。
全国各地でクマによる被害や目撃情報が寄せられる中、クマに遭遇しないための対処法や遭遇してしまったときの対応について専門家に聞いた。
冬眠明けは要注意!クマ出没増
新潟県内の広い範囲に生息しているツキノワグマ。2020年には、関川村でクマに襲われた70代女性が死亡するなど県内では毎年、クマによる人身被害が発生している。
この記事の画像(10枚)冬眠が明けたこの時期は、特に注意が必要だ。
長岡技術科学大学 山本麻希 准教授:
4月~5月の冬眠明けは山菜の時期で、クマも山菜を食べている。山菜採りの人とクマは同じ餌を採っていて非常に危険なので、注意したほうがいい。気がつかないで、人とクマ、どちらも熱心に山菜を採っていると、バッタリ出会ってしまって襲われることがある
こう話すのは、クマの生態に詳しい長岡技術科学大学の山本麻希准教授。
冬眠明けの4月から7月にかけては、タンパク質が豊富な若い芽を求めて、クマの活動が活発になり、目撃・痕跡件数が多くなる時期。さらに…
長岡技術科学大学 山本麻希 准教授:
2019年・2020年はクマが大量出没している。県内のブナの実りが良くなかったので、2年連続でクマがたくさん出てきて、全県で1200頭くらい捕殺した
2年間でクマの頭数が増加した可能性も
ブナが大凶作だった2019年度と2020年度は目撃情報に加え、人身被害も急増。2年連続で20人以上が重軽傷を負った。
2021年度と2022年度はブナの実りが良く、目撃情報や人身被害は減少したが…
長岡技術科学大学 山本麻希 准教授:
クマは餌の良いときに子どもを産む性質があるので、2021年・2022年は、また産んで増えている
この2年でクマの頭数が増えている可能性が高いと指摘する。そこで、クマに遭遇しないための対策を山本准教授に聞くと…
長岡技術科学大学 山本麻希 准教授:
クマは繁忙性といって、明け方や夕方の薄暗い時間に一番活動が活発になる。クマ鈴や音の鳴るラジオを持つなどして、クマとバッタリ出会わないようにする
襲われたら“防御姿勢”を!走って逃げるは絶対NG
それでも、遭遇してしまった場合には…
長岡技術科学大学 山本麻希 准教授:
距離がある状態でクマと出会った場合は、クマもいきなりは襲ってこないので、クマを見ながら、できるだけ距離をあける。一番怖いのは、5m~10mの非常に近い距離でバッタリ出会うこと。そのような場合は、クマスプレーを噴射する
もし、襲われてしまったときには“防御姿勢”を取って、目と後頭部・内臓・背中を守ることが重要だ。
長岡技術科学大学 山本麻希 准教授:
一番悪いのが、走って逃げること。クマは走るものを追う習性があるので、これは絶対にやらない。時速40キロくらい出るので、全く人間には振り切れない
また、ブナが凶作だった時期に畑や民家においしい餌があると知ったクマも多くいるため、山だけでなく、平地でも注意が必要。クマからの被害を防ぐためにも、備えておくことが大切だ。
(NST新潟総合テレビ)