絶滅危惧種の渡り鳥コアジサシ。繁殖地の減少で、佐賀市では2021年から浄水場跡地が巣作りの場所になっている。しかし、カラスやネコに襲われるひなもいて、日本野鳥の会は“ひなのシェルター”を設置し無事な巣立ちを願っている。

3年連続でコアジサシが巣作り

環境省が絶滅危惧種に指定しているカモメ科の渡り鳥コアジサシは、本来、海岸や河川敷で繁殖するが、2021年と2022年に続き、2023年も佐賀市諸富町の浄水場跡地に巣を作っている。

卵を温める絶滅危惧種の渡り鳥「コアジサシ」
卵を温める絶滅危惧種の渡り鳥「コアジサシ」
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この日は、じっと動かず卵を温める姿や、エサをくわえて求愛する姿も見られた。

日本野鳥の会・佐賀県支部 宮原明幸支部長
日本野鳥の会・佐賀県支部 宮原明幸支部長

日本野鳥の会・佐賀県支部 宮原明幸支部長:
本来コアジサシが繁殖する場所が無くなっている。だから、その場所に似た荒地で砂利があって草が生えていない所を繁殖地として代わりに利用するしかない現状ですね

“ひなのシェルター”を設置

2022年から“シェルター”設置
2022年から“シェルター”設置

日本野鳥の会佐賀県支部は佐賀市上下水道局から土地を無償で借り受け、小動物よけのネットや、ひなのシェルターとなる土管などを設置。2022年は対策が功を奏し、飛来した約50羽のコアジサシのうち、8つのつがいと25羽のひなが巣立った一方、カラスやネコなどの天敵に食べられてしまうひなもいたという。

天敵対策に砕いた貝殻まく
天敵対策に砕いた貝殻まく

新たな工夫として、2023年はコアジサシの保護色となる砕いた貝殻を地面にまいて少しでも天敵から身を隠せるようにした。現在、26のつがいが卵を温めていて、早ければ5月15日にもひながかえる予定。

「1羽でも…絶滅から救いたい」

日本野鳥の会・佐賀県支部 宮原明幸支部長:
絶滅にひんした鳥なんですけど、1羽でも2羽でも巣立せることで絶滅を遅らせる。できれば増やしていって絶滅から救ってあげる。そういったことができれば

野鳥の会によると、8月まではここで繁殖するとみられ、早ければ6月上旬から、オーストラリアやニュージーランドに向かって家族ごとに飛び立っていくという。

(サガテレビ)

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