2020年7月豪雨で被災した人吉球磨地域。復興に向かう人吉球磨の今を見てもらおうと人吉市出身の日本航空の客室乗務員の女性が地元の酒蔵や球磨焼酎専門店、中学校などと協力し、観光ツアーを企画した。
JALふるさとアンバサダー・恒松さやかさん：
これは発酵してるってことですか？音が聞こえます。これが焼酎になるんですね
復興のため客室乗務員が特産品をアピール
2023年3月、ウェブサイトに載せる記事の取材で焼酎蔵を訪れたのは、日本航空の客室乗務員でJALふるさとアンバサダーの恒松さやかさん。
JALふるさとアンバサダーは、日本航空の客室乗務員が1年間の期間限定で、地元などに移住し、地域の課題解決に取り組む制度だ。
人吉市出身の恒松さんは、2022年4月からJALふるさとアンバサダーとして熊本の特産品をアピールしたり、日本航空の機内誌で熊本を紹介するなど情報発信に取り組んできた。
恒松さんが体験取材で作った球磨焼酎のラベルには、青く美しい球磨川の風景が描かれていた。
JALふるさとアンバサダー・恒松さやかさん：
ニュースとかで上空から人吉球磨の映像を見たときに、自分が知っているふるさとじゃないとすごく衝撃的だった。何か復興の力になりたいと思い（ふるさとアンバサダーに）応募した
人吉球磨地域は、2020年7月の豪雨で甚大な被害を受けた。
2月27日、恒松さんが取材で訪れた人吉市にある球磨焼酎専門店も、近くを流れる球磨川の氾濫で濁流に飲まれた。
鳥越商店・鳥越ゆかりさん：
（恒松さんの）小さいころを知っているので、頑張っている。助かるし、感謝
「活性化に役立ちたい」観光ツアーを企画
そんな恒松さんが人吉球磨の魅力をより多くの人に知ってもらおうと観光ツアーを企画した。「球磨焼酎特別列車と蔵めぐり」と題して、くま川鉄道の車両を借り切り、球磨焼酎の酒蔵をめぐる1泊2日の観光ツアーだ。
JALふるさとアンバサダー・恒松さやかさん：
復興途中の今の人吉球磨を見ていただきたい思いと、地域資源である球磨焼酎と、くま川鉄道をもっと多くの人に知ってほしい
この日は1カ月後に迫ったツアーに向けて、東京からやってくる参加者の飛行機の時間や、くま川鉄道のダイヤなど分刻みでスケジュールを確認する。また、日本航空のオリジナル商品を用意し、一つ一つお土産として袋詰めする。
日本航空熊本支店・西原口香織支店長：
ふるさとアンバサダーは全員立候補制で、「出身地を元気にしたい」、「活性化に役立ちたい」と熱い思いを持っているメンバーで、その中でも恒松はガッツとパワーのある、熱意にあふれた人材
着々と準備は進み、ツアー当日を迎えた。東京をはじめ県内外から14人が参加。
地元・多良木中学校の吹奏楽部に見送られながら恒松さんのアナウンスで特別列車が出発。
JALふるさとアンバサダー・恒松さやかさん：
本日は日本航空とくま川鉄道のコラボレーション球磨焼酎特別列車にご乗車いただきありがとうございます。湯前駅まで33分。折り返しおかどめ幸福駅まで19分の列車の旅。すてきな景色とともに、どうぞごゆっくりお楽しみください
車内では球磨焼酎を香りや味わい、熟成方法など4つの種類に分けて試し飲みが行われ、好みを見つけてもらう。
参加者：
こっちは（味が）濃い。こっちは飲みやすいグイグイいきそう
参加者：
でも両方飲んでる、飲みきってる（笑）
人吉球磨の景色を眺めながら、列車に揺られて球磨焼酎が飲めるとあって、参加者の飲むペースもあがる。
球磨焼酎の“こだわりの味”を堪能
そしてツアーの目的地の一つ湯前駅に到着すると、早速、球磨焼酎の蔵元を巡った。1,200個ほどある、たるで熟成させブレンドして作る蔵元（くらもと）や、昔ながらの味わいを守り、かめで寝かせる蔵元など、参加者は球磨焼酎のこだわりの味をじかに触れた。
参加者：
自分は普段焼酎を飲まないが、こんなに深い味がするんだと。（蔵元の）職人肌を感じられてすごく楽しかった
林酒造場 杜氏（とうじ）・林泰広さん：
（焼酎は）飲んでもらわないとわからないので、“ウィズコロナ”で新しいやり方をやっていかないといけない（今回のツアーは）助かるし、大賛成
大石酒造場 大石和教専務：
東京とかから来るきっかけはないので、JALが企画して、来るきっかけづくり、球磨焼酎を飲むきっかけづくりをしてくれてありがたい
くま川鉄道・永江友二社長：
地元出身の女性が人吉のことを思い、企画してくれたことがうれしく、私たちも復旧への勇気がもらえた
1泊2日のツアーは無事に終わり、恒松さんが参加者へ手渡すお土産には、手書きのメッセージカードが入っていた。
JALふるさとアンバサダー・恒松さやかさん：
人吉球磨に来てもらって、その良さをじかで味わってもらえたら、そしてそれを思い出してもらえたらうれしいです
今回、恒松さんが取材した酒蔵や球磨焼酎専門店など人吉球磨の魅力が詰まった体験記事は、日本航空のウェブサイトに掲載されている。
（テレビ熊本）
