5月8日、新型コロナウイルスの感染症としての位置づけが5類に変更される。コロナ禍の3年間、コロナが私たちの生活にどんな変化をもたらしたのか、鹿児島市で30人に聞いた。

コロナ禍でもたらされた変化

多かった答えの上位5件(複数回答)を順に見ていく。5位は「おうち時間で趣味が充実」、4位は「マスク生活・身だしなみに変化」。そして3位は「当たり前の日常の大切さに気づいた」。

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当たり前の日常とは具体的にどういうことなのだろうか。

30代女性(看護師):
子どもの行事に、休みを取らないと出られなかったので以前は面倒だと思ったが、(コロナで行事が再開して)成長も見られるし、やっぱり大事だと思いました。当たり前ではないんだなと

50代男性(会社員):
家にいることが多く、子どもと家でたくさん遊べた。家族と過ごす時間が一番だと思っているので引き続き大事にしていきたい

2位は「衛生面の意識が高まった」。手洗いうがいに加え人との距離を保つなど、感染対策の意識が高くなったという声が街の声でも多く聞かれた。

50代女性(主婦):
大行列があっても密集して並ばず、間隔を空けることが癖になった

20代男性(会社員):
1人でご飯を食べるとき、パーティションがあって隣との距離を保てるようになった

指宿市にあるラーメン店、「TAKETORA」ではコロナ禍が始まった2020年からカウンターの席数を減らし、パーティションを設置した。

5類への変更を前に、すでにパーティションを撤去する店も見られる中、この店では設置し続けるという。オーナーの嶽川純理さんは、「お客さんも(パーティションが)あることに慣れている。隣のお客さんとの距離が保てたり、スープが飛んだりと言った心配も軽減される。お客さんにとって良い取り組みになることは続けようと思っている」と話す。

この店では従業員のマスク着用も継続していくという。

コロナ禍による経営の変化

1位を紹介する前に、飲食店経営者から寄せられた「変化」について見てみよう。度重なる外出自粛や時短営業の要請などで影響を受けた飲食店関係者が感じた変化とは?

40代男性(飲食店経営):
ピンチの時の経営の仕方のいい実践になった

20代女性(飲食店経営):
制限がある中でいかに工夫していくか、職場の人たちと考えた

鹿児島市の繁華街・天文館にある居酒屋、「和総」では売り上げが落ち込む中、2020年に県内各地から厳選した焼酎を販売する店を始めた。

代表の鳥越慎一さんは、「とにかく生き残るためにできることはなんでもしようと。焼酎のことなら負けないという気持ちがあったので、焼酎の販売をしてみようと思った。それしかなかった」と話す。

テイクアウトなど、これまでとは違った新たな業態に挑む飲食店が増えたコロナ禍の3年間。鳥越さんは仕事のやり方が変わった3年間だったと振り返る。

和総・鳥越慎一代表:
これまではワンマンオーナーで「俺についてこい」というスタイルでやってきたが、これから鹿児島を担う人たちのために、自分がやってきたことが役に立てばと考えるようになった。経営者としての覚悟が以前よりも強くなりました

リモートワークにより田舎に移住する人も…

そして、1位は「リモートワークの普及」。リモート技術の発達で自宅から会社の会議に参加したり遠隔地の人と画面越しに会話をしたりと、距離を気にせずにさまざまなことができるようになった。

街の人からは「効率的に仕事ができる」、「子どもを預けずにPTAの会議に参加できた」といった意見があった。そんな中、人生の大きな決断をした人を取材した。霧島市の江口弾さん。妻の美紗稀さんとともに迎えた転機について聞いた。

江口弾さん:
コロナがあってリモートワークが主流になり、別に東京でなくても仕事ができるし、こちら(霧島市)に移住するきっかけになった

東京でVR(仮想現実)の映像を作る仕事をしている江口さんは会社に籍を置いたまま2022年6月、美紗稀さんの地元、鹿児島に移住した。月に1~2回ある東京出張に便利なように、鹿児島空港からアクセスの良い霧島市を選んだという。

妻・美紗稀さん:
鳥の鳴き声や風の音ぐらいで、何の騒がしい音もしないので、それが好きですね

江口弾さん:
外で庭をさわっていたら(近所の人が)「野菜食べる?」と言ってくれたり、肉を頂いたり、おいしいものばかりなので、ご近所との付き合いが多いのがとても気に入っている

霧島での生活も1年余り、江口さんにはこんな夢がある。

江口弾さん:
購入した土地に付随している山が3,000坪くらいあるので、将来的にはここでキャンプ場を開けたらなと。オフシーズンには喫茶店とかやって、のんびり暮らしていけたら

つらく苦しいことが続いたコロナ禍だが、ウイルスと向き合う中で、私たちの生活のさまざまな場面で新しいスタイルが定着した3年間ともいえるのではないだろうか。

(鹿児島テレビ)

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