5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同等の5類となる。感染症が専門の鹿児島大学大学院・西順一郎教授にコロナ禍の3年間を振り返ってもらい、今後私たちがどうコロナに向き合うべきか見解を聞いた。

“制限”された3年間

西教授は感染症の専門家として、この3年あまり新型コロナウイルスとの向き合い方についてさまざまな場面でコメントしてきた。

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鹿児島大学大学院・西順一郎教授:
ウイルスは感染力を強めて、病原性を弱める方向に進化する。そういう点では、だんだん自然の流れに従ってウイルス側も変わってきた

新型コロナの位置づけが大きな転換を迎えるのを前に、西教授が今回口にしたのは、コロナ対策への懸念だ。

鹿児島大学大学院・西順一郎教授:
コロナ禍と言うが、コロナ対策によって非常につらい思いをしてきた人も多かったと思う。当初はウイルスの病原性がはっきり分からないので、厳しい対策をとるのは致し方ないが、オミクロン株になってかなり病状が変わってきた段階で、それでもこういう対策を3年間にわたり続けないといけなかったのか、私は少し疑問に思っている

マスク着用やアルコール消毒、そして県をまたぐ移動制限。さまざまな「コロナ対策」に私たちの生活も数年にわたり振り回されてきた。
5月から感染症法上の位置付けは季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げられ、これまでのように多くの人の行動を制限するような対策はなくなるが、私たちの生活から新型コロナがすぐに消えてなくなるわけではない。

鹿児島大学大学院・西順一郎教授:
コロナはまだ季節性が出ていなくて、人の動きと共に流行する。本来、コロナは風邪のウイルスなので冬に流行するもの。次第に数年かけて、(流行は)冬だけになってくるかと思うが、それまでには時間がかかりそう。第9波、10波が来るのは間違いない、全国的に。これからは全数把握がなくなるから正式な数が分からなくなるから、規模として比較するのは難しいが、一定の流行は今後も、鹿児島でもある

今後コロナとどのように向き合うか

今後来るであろう、新型コロナの9波や10波。あるいは、未知のウイルスによる新たなパンデミック(世界的大流行)が起きる可能性も。それらに備えるためにも、今後も私たちには適切な感染対策が求められる。

鹿児島大学大学院・西順一郎教授:
マスクも、症状が出てきて、おかしいと思ったら着けるのは必ず守ってもらいたい。ワクチンもあるので、インフルエンザ、コロナもワクチンを利用してもらえればと思う。コロナに限らず、感染症全体に関する関心を高めて、過度な対策は要らないが、適切な対策をそれぞれが考えることが必要

感染症の一つ、インフルエンザも、子供たちにとってはコロナ以上に亡くなるリスクがある病気だ。コロナだけでなく、感染症全体に関するリスクを理解し、これからも感染症対策は各自で続ける必要がある。

(鹿児島テレビ)

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