高齢化が進む日本。2025年には団塊の世代が後期高齢者に突入する。いかに健康な状態で年齢を重ねられるかは大きな課題だ。コロナ禍による行動制限は徐々に緩和されつつあるが、健康でい続けたいと努力を続けている鹿児島の人々を取材した。

健康でいたい…でも何をすれば?

「健康のために普段何かやっていますか?」街で聞いてみた。

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返ってきたのは、「なんにもしてません」「動かないといけないと思って、努力中」「食事に気をつけているだけ」といった答え。「健康のために何かしなければと思っていてもなかなかできない」という人も多いようだ。

平均寿命とあわせてよく耳にする「健康寿命」という言葉。介護などを必要とせずに生活できる年齢のことだ。

厚生労働省が調べた都道府県別の健康寿命によると、鹿児島県は、男性が73.40歳で7位、女性は76.23歳で9位と、全国的にも高い水準だ。理由について、鹿児島は「コミュニティー活動が盛んで、日常生活の中で体を動かす機会が多いため」といった見方もある。

お年寄りの“健康長寿”の実現

鹿児島市の中央公民館で開かれた、お年寄りが集まる会合をのぞいてみた。

2005年に設立されたボランティア団体「介護予防のうねりを起こす会」の主催。この団体は鹿児島市内の「お達者クラブ」などが協力し、市内約200カ所の公民館などで活動している。

ステージでは、加盟団体の関係者が体操を披露し、客席のお年寄りも座ったまま、一緒に体を動かした。体への負荷をなるべくかけずに神経の働きを改善する効果がある体操だという。

そして、介護予防のうねりを起こす会・財部マチ子会長が「私たちの願いは何でしょうか。元気で長生き、最期まで自分のことは自分でできて、健康長寿の実現ではないでしょうか」と呼びかけた。

実はこの会が開かれたのは3年ぶり。コロナ禍は健康作りに励んできたお年寄りたちに大きな制限を迫った。

介護予防のうねりを起こす会・財部マチ子会長:
人混みには行きたくない気持ちもあると思うが、介護予防は「集う」ということがすごく大事

何気ないおしゃべりも元気の源

感染リスクを考慮して集まりを控えたコロナ禍。ステイホームで体力の衰えを実感したお年寄りも多くいたという。そんなコロナ禍でも活動を続けたお年寄りたちもいた。

鹿児島市小原町にある「よかよか元気クラブ」。メンバーの1人、鬼塚カズエさん(73)が自宅の 庭を開放し、みんなが集まれる場所を作った。8年間、週に1回、10人ほどが集まって体操を続けている。

鬼塚さん自身、2019年に交通事故で足をけがして一時は歩けなくなった。しかし、この体操を継続することで元通りの生活を送れるまでに回復した。

鬼塚カズエさん:
体操や運動のおかげだと思う。足を横に動かし、曲げたりできるようになった。いいですよ!

活動には体力向上だけでなく、お茶を飲みながら談笑するという“もう一つの楽しみ”があった。

人と人の距離が離れたコロナ禍。体操だけでなく、何気ないおしゃべりもお年寄りたちの元気の源になっていた。「笑って楽しんで帰れる。とにかくありがたい、近くにこういう所があるということが」と話す参加者の表情は、マスク越しでもいきいきとしていた。

健康寿命を「人ごとに思わない」

霧島市には、コロナ禍で引きこもりがちになったお年寄りたちの健康回復を図るために、運動に特化したデイサービスがある。スタッフと一緒に利用者が声を出しながらマシントレーニングに励んでいるなど、室内はまるでスポーツジムのようだ。

いったん通うのをやめたものの、「一度やめたら歩けなくなった。2月から、筋力をつけるために再び通うようになった」と、トレーニングを再開した人もいた。

「筋力が低下すると転んで骨折して寝たきりになるリスク」を減らすのが施設の狙いだ。代表の鳥丸さんは「もう年だからしょうがない」という母親の言葉が大嫌いで、このデイサービスを立ち上げたという。

リハプライド鹿児島空港・鳥丸成稔代表:
母親にずっと元気でいてほしいとの思いがまずある。人ごとと思う人が多いが、今のうちに運動しておかないと、ふさぎ込んでも復活できるくらいの体力をつけないといけない

交通事故で一時歩けなくなった「よかよか元気クラブ」の鬼塚さんも「人ごとに思わない」、これが健康寿命を延ばすカギと話す。

鬼塚カズエさん:
自分たちが介護される側になると思うと、真剣に考える。どうすれば、介護が必要になる日を1時間でも遅らせることができるか

何歳になっても健康でありたいというのは多くの人の願いだ。コロナの出口がようやく見えつつある今、再び、健康寿命を延ばす取り組みが各地で加速していくことを願いたい。

(鹿児島テレビ)

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