YouTubeなどに演奏の動画をアップして活動する「ネットピアニスト」の菊池亮太さんが注目を集め、活躍の場を広げている。

クラシック音楽への「堅苦しさ」を緩和し親しみを…

昼下がりの名古屋駅JRゲートタワー。15階には「ストリートピアノ」が設置されている。

そこへやってきたのは、帽子を目深にかぶった男性。スマートフォンをセットすると、演奏を始めた。

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ピアノの周りにはあっという間に人だかりが…。

演奏を披露するのは菊池亮太さん、プロのピアニストだ。

演奏を聴いていた男の子:
高い音から低い音までたくさん使っていて、すごいなと思いました

演奏を聴いていた男性:
私はYouTubeチャンネルを登録していまして、何回か見させてもらっています

菊池さんはストリートピアノでの演奏などを動画で配信していて、YouTubeでの総再生回数は2億3000万回以上。登録者数は約58万人で「ネットピアニスト」とも呼ばれ、今、幅広い世代に支持されている。

3月下旬、菊池さんの姿は東京のカフェにあった。

菊池亮太さん:
これは名古屋のストリートピアノで撮らせていただいたやつなんですけど

アップする動画の撮影や編集も、基本的に1人でやっているという菊池さん。こだわって作るため、5分から10分の動画の編集に平均で7時間ほどかかるという。

菊池亮太さん:
このサムネいいですね。(ポイントは)躍動感ですね。サムネが一番重要なんですよね、実は。どんなにいい内容でも、見てもらえなかったら意味がないというか

元々、アーティストのサポートや楽曲の提供をしていた菊池さん。2019年に遊びの延長でアップした動画が転機となった。ネット上で反響を呼び、YouTubeでの活動を本格的にスタートした。

菊池亮太さん:
ツイッターをメインにやってた時は「面白い動画を上げている人」みたいな認識だったと思うんですけど、(YouTubeを始めて)自分の「演奏」を聴きたいって言ってくださる方がすごく増えた

現在は月に数回ほど、チャットでファンと交流しながら演奏する、ライブ配信も開催している。

クラシックを演奏し、そのまま松任谷由美さんの「春よ、来い」に展開。他にも視聴者のリクエストに応えて、ジブリソングやポップスの人気曲など、自在に切り替えていく。

その技術の背景にあるのは、4歳でピアノを始めた時から大学院まで学んだクラシック。

クラシックを軸に演奏するスタイルは、ネットピアニストとしての菊池さんの個性であるとともに、狙いの1つだという。

菊池亮太さん:
どうやったら、このマニアックな曲を聴きたいっていう気持ちになれるのかどうか。メドレーにしてその中にしれっと紛れ込ませるとか。「クラシックは堅苦しい」みたいなものが緩和されると、よりみんな音楽に対して親しみが持てるのかなとか。自分が面白いと思っていることを、いかに面白く伝えられるかどうかということだと思うんですよ

YouTubeでの本格的な活動を始めて約4年。最近はネット上だけでなく、全国各地でのコンサートにも出演し、お客さんの数は以前の10倍ほどに。4月23日には名古屋でのコンサートにも出演する予定だ。

菊池亮太さん:
3~4年前くらいに僕たちの演奏を見てピアノを始めた子が、今度コンクールに出ますとかすごく聞くんですよ、最近。(ネットピアニストが)ただの一過性のブームで終わってしまわずに、1つの文化になりつつあるのかなと思って、僕個人としてはすごくうれしい気持ちです

(東海テレビ)

東海テレビ
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