人混みや大きな音、強い光などが苦手な人でもプロスポーツなどの試合が楽しめるよう設けられた部屋「センサリールーム」。スポーツ観戦をあきらめていた人でも競技を楽しんでほしいと、県内でもセンサリールームの取り組みが始まった。

光や音を極力遮断、スポーツ観戦のきっかけを 

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選手と観客が一体となり盛り上がりが最高潮の沖縄アリーナ。  
その会場内の一角には、「センサリールーム」がある。感覚が過敏な人でも安心して観戦することができる部屋だ。

県発達障害者支援センター  久貝晶子 主任:  
センサリールームというのは光や音を極力遮断したお部屋になっています。感覚過敏のある人がスポーツ観戦を見られるきっかけを作るためのお部屋です 

沖縄アリーナ施設運営 片野竜三 部長:
このお部屋はウィンドウもありますので直接大きな音が響かないので、スピーカーの方も切って楽しんでいただけるようにしています 

利用者はブラインドなどで 明るさを調整したり、 防音用のヘッドホンやブランケットも使える。 

落ち着くための休憩スペースとして授乳室も活用可能だ。

センサリールームでの観戦どう感じた? 

この日、 世界自閉症啓発デーの取り組みの一環として2組が招待された。

聴覚過敏があり、 人と接することが苦手という男子中学生は、家族でバスケットの映画を見たことがきっかけで興味が湧き、今回、母親と参加した。

今の気持ちは?  

参加した男子中学生: 
不安の方が大きいです

男子中学生の母親: 
ここまで人が入るところに実は来たことがなくて、本人はドキドキしていると思います

もう1人の参加者は視覚と聴覚過敏の症状がある野原孝貴さん。  

野原さんは以前、 ライブ会場を訪れた際に大きな音と強い照明で体調を崩し、倒れたことがあるという。  

野原孝貴さん:  
私は光と音に敏感でそこから偏頭痛が起こることもあります。個室で見させていただけるのがすごくありがたいです 

試合前は不安を口にしていた男子中学生。 用意された防音用のヘッドホンを着け、 リラックスした様子でキングスに声援を送った。  

参加した男子中学生: 
イヤーマフを着けると、あまり音がしませんでした。ダンクシュートが凄かったです 

視覚過敏で紫外線などを抑えるメガネが欠かせない野原さんは、試合前の光の演出に驚いた。 

野原孝貴さん:  
あれはちょっときつかったですね、光が特にきつかったのでブラインドを下ろして見られたので良かったです  

bjリーグ時代からしのぎを削ってきた大阪エヴェッサとの試合は一進一退の好ゲームに。  

センサリールームから大きな拍手で選手を応援していた親子でしたが、試合の後半は息子が自ら希望し部屋の外で観戦することに... 

一般の観客と同じ環境の中で、 激しくぶつかり合う選手たちへ大きな声援と拍手を送るなど、新たな一歩を踏み出した瞬間になった。  

男子中学生の母親: 
最後の10分だけは自分でもチャレンジしたいって言っていたので、試合の音に慣れてみたいっていうことで本人が外して体験できてよかったです。少しでもこういう取り組みが広がれば、希望を持たせてあげられたらないいなと思います。とてもいい取り組みだと思います 

発達障害の理解が進むことに期待 

センサリールームの設置に関わった県発達障害者支援センターの久貝さんは、自閉症など発達障害に対する社会全体の理解が進むことを期待している。

県発達障害者支援センター  久貝晶子 主任: 
この方々の特性、苦手なこと、得意なことというのをしっかり知っていただいて、この人に合わせた環境というのがとても必要になってきます。今回の活動を他の部分にも広げていきたいなと思っております 

沖縄アリーナの運営に携わる片野さんは、今後も様々なコンテンツを提供し誰もが安心して楽しめる空間にしたいと意気込む。  

沖縄アリーナ施設運営 片野竜三 部長:  
世界的にも素晴らしいアリーナが沖縄市に出来上がっています。その楽しみを少しでも多くの方に楽しんでいただくのが僕らの使命だと思っているので、是非、色々な方に沖縄アリーナに足を運んで体験していただきたいと思います 

これまでスポーツ観戦に縁が無いと諦めていた人に大きな希望を与えるセンサリールーム。 

障害への理解を深めることにも繋がる取り組みがスポーツ界に広がっている。  

沖縄テレビ
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