検索の概念を変えるとまで言われる最新技術「チャットGPT(ChatGPT)」。社会を大きく変える可能性があると期待される一方、学問の分野からは懸念の声も出ている。最新AIとの上手な付き合い方とは?

去年11月の公開後わずか2カ月で利用者1億人「ChatGPT」とは

質問を入力すると人工知能=AIが、まるで会話をするように答えてくれる「チャットGPT」。人間が書いたような自然な文章を作成できるのが特徴だ。

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アメリカの実業家らが設立した企業「オープンAI」が開発し、2022年11月に公開した。すると、わずか2カ月で利用者が1億人に到達。いま世界で最も注目されているといっても過言ではないサービスなのだ。

そして4月10日、なんとオープンAI社のトップ・アルトマンCEOが日本を訪れ、岸田首相と面会。「日本への進出を考えている」との発言もあり、世界が大注目する技術に、期待が膨らむ一方で…

オープンAI アルトマンCEO:
(岸田首相と)AI技術の長所や、短所をどう軽減するかについて話した

課題とされているのが、学問の分野での取り扱い。学生が大学のレポートや論文などに利用することが懸念されている。

京都大学の湊総長も、4月7日に行われた入学式で、チャットGPTに言及した。

京都大学 湊長博総長:
チャットGPTなどの生成AI・自動文書作成ソフトが話題になっています。「文章を書く」ということは、時間をかけてじっくりとこれらを検証しながら、できる限り正確な知識に基づいて、最も自分らしい思考や感性を作り上げ、表現していくプロセスであると言えるでしょう

文部科学省は使い方に関するガイドラインを作成する方針だ。

チャットGPT利用したサービス 既に教育分野で使われている例も

学問の分野で懸念の声がある一方、教育の分野では、チャットGPTをうまく使いこなしたサービスもある。生徒ひとりひとりと向き合って教えたいという“先生”たちの事務仕事の負担を減らすために、チャットGPTを利用したサービスがある。その名も「先生のBUKA」。

みんがく 佐藤雄太代表取締役:
学習塾に通う生徒さんが、家で勉強する時、困った時に何かサポートできる、そんなサービスを作っております

学習塾の生徒が家に帰ってから、塾の先生に「やる気が起きない」というメッセージを送ってきたとする。

そこで先生がボタンをクリックすれば、“生徒を励ます返信メッセージの案”が表示される。そのメッセージ案をもとに、“頑張りすぎている”と感じる生徒に対しては「リフレッシュするよう」先生が書き加えるなどして送信する。

みんがく 佐藤雄太代表取締役:
チャットGPTをはじめとする生成AIが、事務的なところをやってくれる。生徒さんとしっかり向き合う時間を取れる

このサービスで適切なメッセージ案を作成させるポイントが、「プロンプト」と呼ばれる指示。「こんなメッセージを作るように」と細かく設定できる。

活用のコツは「プロンプト」 チャットGPTに求める役割を細かく設定

プロンプトを工夫して、子どもたちの家庭学習に活用している人もいる。

漫画家 小沢高広さん:
やっぱり人間、大人が相手すると、ちょっとイライラしたり、誘導したりしちゃうんですよね。どうしても。でも(AIは)ずっと待ってくれる

「うめ」というユニット名で活動している、漫画家 小沢高広さん。12歳の娘さんが「小学校生活の思い出」というテーマで作文を書こうとして悩んでしまった時に、チャットGPTを利用した。

その時のやりとりは…

チャットGPT:
小学校生活で一番心に残った思い出は?

小沢さんの娘:
わからないです

チャットGPT:
大丈夫です!一つずつ考えていきましょう!

チャットGPTが文章を作成するのではなく、娘さんが自分で考える手助けをしています。これは小沢さんがチャットGPTに与えたプロンプトを工夫したからです。

漫画家 小沢高広さん:
あなたはAI家庭教師ですという役割と、こちらは12歳ですと設定して、あと前向きで明るく優しく接してくださいと

小沢さんの娘:
イチから教えてもらうというよりは、(AIと)一緒にできている感じだった

使い方次第でメリット・デメリット、さまざまな側面がある「チャットGPT」。賢い利用の方法を考えていく必要がありそうだ。

(関西テレビ「newsランナー」2023年4月11日放送)

関西テレビ
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