脱ぎ散らかした服の片付けやシャンプーの詰め替えなど、はっきりと名前のついていない家事。小さな雑務“名もなき家事”を子どもと一緒に楽しみながら解消する方法とは。
小さな積み重ねが大きな負担に…
夫婦の間の家事の分担。それぞれ、自分がどれだけの割合を担っていると考えているのか聞いた。
夫は「夫20%:妻80%」、妻は「夫30%:妻70%」と答えた夫婦の場合は…
この記事の画像(16枚)夫:
子どもと妻を休みの日にどこかに連れて行ったり、なるべく子どもの世話をしようかなと
妻:
進んで食器を洗ってくれたり、私も世話になっています
夫:
妻は気をつかっています。現実はこれ以下です
夫婦ともに「夫30%:妻70%」と回答した夫婦は…
夫:
たまに食器を洗ったり、掃除機をかけたりしています
妻:
お願いしたらやってくれるし、自分から率先してやってくれることもあります。これくらいでも構わないかな
2022年に行われた夫婦の家事分担に関する意識調査では、妻が9割家事を負担しているというのが最も多い回答だった。
妻が10割負担していると回答した人を見てみると、妻の側がそう感じている人が多い反面、夫はその自覚があまりないことがわかる。
家事分担の認識が夫婦で異なっているのだ。
家族社会学が専門の立命館大学の筒井淳也教授によると…
立命館大学 筒井 淳也 教授:
ここ10年で男性の家事時間は1日につき数分間増えたというレベル。これが均等になるには100年くらいかかるかもしれない。
「名もなき家事」とは食事の献立を考えたり、脱ぎっぱなしの子どもの服を片付けたり、掃除や洗濯のようにはっきりとした名前がついていない家事のこと。
ひとつひとつは小さなことでも、これの積み重ねが大きな負担になっているといわれる。
妻:
朝起きたときソファーにリモコンが転がっているので、それをテーブルに置いてほしい。朝に探してしまいます
夫:
思い当たる節はあります。寝るときテレビを消して、ソファーにリモコンを置いて寝室に上がっている。それが癖になっていました
子どもと楽しみながら負担解消…「家事ハック大賞」
普段、意識していないような「名もなき家事」。こうした家事の負担を減らそうという取り組みも始まっている。
立命館大学 筒井 淳也 教授:
「ゆとりうむプロジェクト」という、家事をもう少し楽にして時間を生み出そうというプロジェクト
このプロジェクトでは、忙しい毎日の家事を楽しくできる方法を募集した「家事ハック大賞」を開催。
子どもたちが自発的に「名もなき家事」をしくれるアイデアも登場した。
審査員の1人を務めた立命館大学の筒井淳也教授。
選考のポイントは。
立命館大学 筒井 淳也 教授:
少しでも家事を楽しく、楽にしていこうという方向性の企画。ポイントになったのは「家事の担い手の分散」。どうしても家事は1人がやってしまうと、その人に負担が集中してしまう。特に女性に。これを分散していくときに、単に「やってね」というだけでなくて、ちょっとした工夫をすること
応募総数349の中からグランプリに輝いたのは「食器の収納地図」。誰でも元通りに戻せるようにと考えた、食器の収納場所の写真だ。
受賞者は…
グランプリ受賞者 yu_na_moonさん:
忙しいときに限って「あの食器どこ」とか、「この食器どこに戻したらいいの」と聞かれる。家族みんながわかるような食器の収納方法を考えました。見本の写真と同じようにそろえるゲームみたいな感じで、楽しんでお手伝いしてくれています。私にいちいち聞いてくるとことがなくなって、すごく負担は少なくなりました。子どもたちや夫も自分で見てしまえるので、とても楽になっています
掃除・洗濯・炊事のほかに「名前のない家事部門」もある。
受賞したのは「バスケットゴール洗濯かご」だ。
脱ぎ散らかした服を片付ける手間を解消するため、脱いだものを投げてシュートが入れば洗濯かごに落ちるよう工夫されている。
子どもたちが進んで楽しく手伝ってくれるようにと考えた。
名前のない家事部門受賞者 honwaka.happydaysさん:
娘たちが家に帰ってくると靴下を脱ぎ散らかして、洗濯の前に家中から拾い集めるという「名もなき家事」に時間を取られていました。「バスケットゴール洗濯かご」を作ったことで子どもたちが喜んでゲーム感覚で入れてくれるようになって、とても楽になりました。イライラして怒ってしまうことが減って、精神的な負担が減ったのも大きいです
立命館大学 筒井 淳也 教授:
楽しくクリエイティブに負担を減らすということを意識しながら少しずつ進めていけば、家事はもっと楽になる余地がたくさんあると思います
(北海道文化放送)