2022年8月、東京・渋谷で、帰宅途中の母娘が突然刃物で刺され、重傷を負った事件。逮捕されたのは、被害者とは全く面識のない、埼玉県に住む中学3年生の少女だった。
犯行の動機は、自分の母親に対する"不満"とみられている。悩みを抱える子どもたちに、大人はどう向き合っていけば良いのだろうか。

「"不登校"="事件"ではない」 増加する"相談できない子ども"

逮捕された少女は、中学1年生の3学期から不登校になったという。不登校などの現状に詳しい専門家はこう話す。

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北海道教育大学大学院 学校臨床心理専攻・斎藤暢一朗 准教授:
“学校に通えてないから殺人的な事件を起こす”と結びつけてはいけない。
仮に学校に行けない状況になっても支える場があるので、専門的な支援機関にアクセスをしてほしい

子どもとの関係で、いま何が求められているのか。
20年以上、子どもの悩みと向き合ってきた支援団体の代表は、現状をこう語る。

チャイルドラインほっかいどう・田辺毅彦 代表:
――どういう悩みが多い?
学校のこととか家庭のことですね。自分の生活範囲の問題について、相談や悩みを聞いてという電話が多い。相談できない子どもたちの方が多いような気もする

「良いことしか言わない。嫌なことあれば友達に」…親子の認識に"差"?

実際に、札幌市内で子どもたちに悩みを聞いてみると…

中学生:
進路ですかね、すごく勉強難しいから大変ですね

中学生:
姉がいるんですけど、(姉の)受験のことで家庭内がピリピリしている

中学生:
(親には)良いことしか言わないようにしています。嫌なことがあったら友だちに相談するけど、親にはあんまり話してない

一方、保護者側は…

高校1年生の保護者:
(悩みは把握している)つもりですけど、常に会話するように心掛けている

中学2年生の保護者:
時間的に学校から帰ってくるのも遅いし、帰ってきてからも塾に行ったり習い事とかで話をする時間ってあまりない。(悩みは)わからないです。言わないし、あるかないかもわからない。
家では明るくいるし、学校の話もする。こういうこと悩んでいるとか聞いたことない

子どものいまの気持ちをすべては把握できていないという声も、多く聞かれた。

距離を取る子ども…「必要なのは『いつでも聞くよ』の態度」

子どもの本音を把握しにくいことについて、斎藤 准教授はこう説明する。

北海道教育大学大学院 学校臨床心理専攻・斎藤暢一朗 准教授:
親との関係よりも、同級生や同年代のつながりを大事にする。横のつながりの情報や、言葉の使い方、SNSなど(を大事にするので、世代の違う)親とあえて距離をとる(年代でもある)

では、保護者はどのように接すれば良いのだろうか?

チャイルドラインほっかいどう・田辺毅彦 代表:
常に子どもたちに「いつでも聞くよ」という態度を見せることが大事。本当に困っていたら、子どもたちも相談してくれるのでは

繊細で、本音はなかなか伝えにくい子どもたち。多感な時期でも安心できる環境づくりを大切にしていきたい。

(北海道文化放送)

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