円安や原材料費の高騰により続いている「値上げ」ラッシュ。
4月からヨーグルト、チーズ、ハム、アイスクリームなどが値上げ、もしくは内容量を減らす“実質値上げ”となった。
ただ、この値上げラッシュの“終わり”が見えてきているとのことで、日本総研関西経済研究センター副所長の藤山光雄さんに「値上げの終わり」は本当に来るのか…について伺った。
「光熱費」は去年末から落ち着きつつある
4月以降も、食料品をあわせて9000品目が値上げ予定ということだ。そんな中で、値上げラッシュの終わりが見えてきている…、それはどういうことなのか？
光熱費、食料品、サービス・外食について、それぞれ伺った。
まず、光熱費については、「去年末から落ち着いている」ということですが、本当なのだろうか？
日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長：
電気代やガソリン代のもとになる“原油価格”が、去年末からかなり価格が落ち着いています。あと政府の価格抑制策（電気代やガス代の補填）もありますので、だいたい秋にかけて落ち着くのではないかと思っています
電気代やガス代の補填は、ことし9月末までという期限があったが、大丈夫なのか？
日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長：
確かに今のところ期限は9月末までとなっていますが、岸田総理も「必要ならば躊躇なく対応する」と明言していますので、光熱費が下がらないという場合や、それに合わせて賃上げもなかなか進まないという状況になれば、電気代やガス代を補助する価格抑制策は9月以降も実施される可能性はあります
「食料品」は夏過ぎに落ち着く
次に、食料品については「夏過ぎには落ち着く」との見解だが、どうして夏過ぎなのか？
日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長：
食料品の元となる”原材料費”についても去年末くらいからかなり落ち着いてきています。ただ、食料品は価格転嫁にタイムラグがあるものなんです。それを踏まえますと、もう少し価格が高い時期が続き、それが落ち着くのは夏ごろだとみています
「サービス・外食」はこれから先さらなる値上げ
そして、サービス・外食については、「イイ値上げに」とのことで、値上げは今後も続いていくのか？
日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長：
ホテル・外食については、これから値上げがあるのではないか見ています。ただ光熱費や食料品と異なり、背景にあるのは従業員の賃上げです。賃上げを実現するためにサービスの価格を上げないといけないという訳です。でないと、サービス・外食に従事する人を集められないという事情もあります。賃上げのための値上げという訳で、ここは“いい値上げ”という理解が必要かもしれません
値上げラッシュが続く中、飲食業界ではこんな企業も登場している。
「逆張りの値下げ戦略」ということで、飲食チェーンの「なか卯」は、主力商品の親子丼を490円から450円に値下げすると発表した。
値下げで、より多くのお客さんが来店することで、コストの増加分を吸収できるということだ。
また、視聴者の方からLINEでこんな質問もいただいた。
Q：「なか卯」のほかにも値下がりを実施する企業は出てくるの？
藤山さんの見解は「追従する企業は出てくるだろう、しかし…」。
この「しかし…」の部分の先が気になるところ。
日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長：
お客さんを呼び込むマーケティングとしては、このタイミングでの値下げはかなりインパクトがあります。なので、そういう戦略を取る企業は他にも出てくると思います。ただ、それが無理な値下げになると問題です。賃金を上げずに商品やサービスの値段だけを下げてしまうと、過去日本が苦しんだデフレ、つまり賃金もモノの値段も上がらない…という状況を招く恐れがある。安売り競争にならないか心配です
値上げラッシュに対抗 いまできる防衛策
まだまだ続く物価高のなかで、値上げ防衛策を伺った。
1：値上げのいまこそ「ポイ活」を。
これはどういうことなのか？
日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長：
いま電子マネーやＱＲコード決済など、様々な決済手段の競争があります。そういったところを上手く活用してポイント還元やクーポンを狙う、ということです。元々、値上げしているのだから、それに応じてポイントもたまりやすい状況になっている訳ですよね
もう一つ、藤岡さんがオススメする防衛策は…
２.PB商品（プライベートブランド商品）の活用
物価高の今の状況下でも、価格据え置きのものがあるそうだ。いわゆるナショナルブランドより数十円安いこともあり、PB商品を購入する人が増えているそうだ。
値上げラッシュはある程度、終わりが見えているということで、アレコレ工夫や防衛策を実践しつつこの問題と向き合う方がいいのかもしれない。
（関西テレビ「newsランナー」4月7日放送）
