福岡県内をはじめ、全国各地で相次いでいる高級車を狙った盗難事件。犯行グループの実態を取材すると、あらゆる手段を使って車を盗む窃盗犯の悪質な実態が浮かび上がってきた。そして盗まれた車の行き先は…。
「人気のある車は絶対に目をつける」
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
奴ら(窃盗犯)が言ってましたけど、「人気のある車は目をつけられる」「絶対に目をつける」。犯行を防ぐには、人気のない車種に乗る、ですかね
今、全国で続発している国産車の盗難事件。犯人は主に「CANインベーダー」と呼ばれる特殊な機器を使い、ドアロックを解除。そのままエンジンをかけ、犯行開始からわずか数分でターゲットの車を盗んでいく。
この「CANインベーダー」を使用したとみられる事件は、福岡県内でも発生していた。
「レクサスが強引に持って行かれている」と110番通報があったのは2023年3月24日午前3時前。福岡市東区で、1.200万円相当の高級車「レクサスLX」が盗まれた。
犯行を目撃した近くに住む男性:
「ガチャン」と音がして、「キュルキュル」と滑る音がした。(何だろうと)窓から覗いたんですよ。(すると)前の車をこの道まで押し出してるんですよ
犯行の様子を目撃した男性によると、被害に遭った住宅の駐車場では、レクサスの前をふさぐように別の車が止められていた。ところが、レクサスを盗んだ犯人は、前に止まる車にちゅうちょなくぶつけて押し出し、強引に走り去ったという。
犯行を目撃した近くに住む男性:
タイヤの跡が、白線のところにあるでしょう? 2台で連なっていた
この事件の前後、糟屋郡内と福岡市中央区でも、レクサスLXが、CANインベーダーとみられる手口で相次いで盗まれていた。福岡県警は、同一犯の可能性もあるとみている。
また、県内では2022年10月に、CANインベーダーを使ったとみられる窃盗事件が、わかっているだけで5件発生している。
「Google ストリートビュー」でリサーチ
全国で後を絶たない車の盗難事件。犯罪ジャーナリストの花田庚彦さんは、知られざる犯行の手口をこう話す。
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
「街中でいい車があったら後をつける」。あとは、私も初耳だったが、「Googleマップ」を使ってリサーチしていると言っていた。車は大体外に面して止めているので、そういう車を狙ってやっているとは言っていた
ーー「Google ストリートビュー」で高級住宅地とかを見て回っている?
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
念入りに見て回っている
花田さんが取材した現役の車泥棒は、40代の元暴力団員。その人物は、狙いをつけた高級車の後をつけたり、インターネットを駆使したりして、グループで車を盗むという。
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
チームは4人と言っていた。見張り、実行役、車の運転手、本人
ーー使われている道具は?
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
「CANインベーダー」です。犯行時間は、1分~10分。かかっても10分と言っていた
ーー逃走用の車両や、そこまで乗りつけてくる車は自家用車?
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
あれは盗んだ車。だから防犯カメラにナンバーが映ろうが関係ない。ナンバーを変えてる可能性もある
ーー狙われている車はどういう車?
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
一発でお金になりやすい車ですね。「ランクル」や「レクサス」
損害保険会社がまとめた車両盗難の実態調査によると、盗まれた車のワースト1位は「ランドクルーザー」。2位が「プリウス」。3位が「アルファード」。4位が「レクサスLX」などという結果になっている。
最近の福岡は富裕層が増「狙われている」
では、盗まれた車は一体どこに行くのか?
ーー盗んだ車はどのように売られていく?
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
刻印を打ち変えて“不良(暴力団)関係”に売ったり、あとは外国人に売ったりして、海外に輸出。またパーツごとにも売れますし
ーー外国人とはどこらへんが市場?
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
一例を挙げれば、〇〇人とは言っていた
ーーどのくらいの利益をあげる?
犯罪ジャーナリスト・花田庚彦さん:
グループでやったら年間4,000万~5,000万円稼ぐ
また、花田さんは福岡の最近の事情についても、「富裕層が増えているから狙われている」「警察の捜査が本格的になるまで狙われる可能性がある」と話す。
警察は、車に盗難防止装置を設置したり、ハンドルやタイヤを物理的にロックしたりするなど対策を呼びかけている。このほかにも、コストはかかるが、専用の電子的な対策も有効だという。
まずは、一人一人が防犯意識を高めること、これが重要だ。
(テレビ西日本)