北海道知床沖で2022年4月23日に観光船KAZU Iが沈没した事故からまもなく1年。事故2日前に行われた訓練で、船に不具合があることを船長が知っていた可能性があることが関係者への取材で明らかになった。
この記事の画像(13枚)20人が死亡、今も6人が行方不明になっている観光船の沈没事故。
なぜKAZU Iは沈没したのかー。
国の運輸安全委員会が公表した報告書によると、船はハッチのふたが十分に閉まっていない状態で運航し、海水が流入したことで沈没した可能性が高いとしている。
関係者が語る“ずさんな安全管理”
同業他社の関係者:
ロープを出してえい航訓練に行ったときには、ハッチのふたは閉まっていなかったんだよね
こう語るのは、同業他社の関係者だ。
事故を起こす2日前の訓練で、KAZU Iのハッチのふたが閉まっていないのを目撃していた。
同業他社の関係者:
ここがブリッジ、船首にハッチがあり、留め具があって、前の2つが閉められなかった。この2つがダメだった。(豊田船長は)閉めにくいからあきらめたなという感じだったね
ハッチのふたが閉まらないまま訓練は続行。
その後、直したかどうかは分からないという。
同業他社の関係者:
当然、営業日の2022年4月23日は必ず閉めたもんだと思っていたからね。(普通、ハッチのふたが閉まらないまま)お客さんを乗せて走ることは絶対ないよ。なぜかというと出航前に必ず点検するから
さらに男性は、エンジンオイルを長期間、取り換えていないなど、ずさんな安全管理をたびたび目撃し船長に何度も注意していたという。
同業他社の関係者:
(船のメンテナンスを)『専門業者に頼め』と豊田船長によく言っていたんだ。そしたら『自分でやれって言われるんだ』って。桂田精一社長から言われるんだ。『業者に頼んでください』って言ったら『そんなの自分で直せ』って。エンジンのメンテナンスもしていないし、ペンキを塗っただけだからね。だから起こるべくして起こった事故なんだ
国の確認体制にも疑念…“チェックの甘さ”なぜ?
一方、国側のチェック機能にも疑念が生じている。
事故の3日前のJCIによる船舶検査では、ハッチのふたの作動状況を確認していなかった。
そして、国交省は2021年、2度の事故を起こした知床遊覧船に対し、改善報告書の文案を作って提出させるなどの指導をしていた。
運輸行政の専門家は…