北海道新幹線・延伸工事が最大の難所を突破した。工期が大きく遅れる原因となっていたトンネル内の巨大な岩が取り除かれたのだ。
その現場に初めてテレビカメラが入った。

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後志のニセコ町から倶知安町(くっちゃんちょう)につながる羊蹄トンネル。ここが北海道新幹線・延伸工事の工期を4年も遅らせることとなった難所だ。

原因は地下水が染み出すトンネルを3.5キロほど進んだ場所にあった。

鉄道・運輸機構 山口 真基さん:
巨大な安山岩の岩塊。いくつも組み合わされた岩塊群に当たって掘削が止まりました

このトンネルは「シールドマシン」と呼ばれる巨大なドリルのような機械で掘り進められた。

2019年に工事が始まり順調に進んでいたが、2021年7月、巨大な岩が行く手を阻んだ。

高さ17メートルで奥行き15メートルほど、5階建てのビルに相当するほどの大きさだ。

その岩の一部には、カッターの跡があった。

鉄道・運輸機構 山口 真基さん:
出てきた岩はマシンのカッターの跡がついています

傷はつくものの硬すぎて割れなかったのだ。

鉄道・運輸機構 山口 真基さん:
金属のような音がする。ビクともしないような硬さ

岩は、羊蹄山がかつて噴火したときの溶岩とみられ、硬さは新幹線の橋梁工事で使うコンクリートの5倍。シールドマシンでは歯が立たなかった。

重機を使って岩を砕こうにもシールドマシンを後退させることができない…

そこで、迂回(うかい)トンネルを掘って重機を運び、反対側から砕くという方法をとった。

しかし…

重機を使っても工事は難航。そこで、最後の手段を試みた。
特殊な薬剤を使って"爆破"したのだ。

これを何度も繰り返し、なんとか岩を砕いていった。

そして3月3日、岩が全て取り除かれた。

開通した先には直径11.5メートルのシールドマシンの刃がむき出しになっている。

鉄道・運輸機構 山口 真基さん:
最初は頭が真っ白になるくらい驚きました。北海道新幹線を待ち望んでいる道民のためにも、できるだけ工程を縮めながら何とか着実に工事を進めていきたいです

最大の難所を突破し、シールドマシンは2023年内にも再び動き出す予定だ。
遅れを取り戻すためできる場所から工事を進めていくということだ。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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