高齢になるにつれて、症状を訴える人が増える「便秘」。便秘になることで外出を控える人が増え、活動量が減ると食欲も低下し、結果、身体的機能や・認知機能が低下する「フレイル」になりやすいという。便秘の対策や解消法を医師に聞いた。

高齢者が「便秘」になりやすい理由

▼便が硬い・出にくい
▼残便感がある
▼おなかが張る
▼排便時に痛みがある
▼おならの回数が多い など

人によって「便秘」だと感じる症状や度合いは様々だが、男女とも高齢になるにつれ、便秘になる人が増えることが分かっている。

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なぜ、高齢者は便秘になりやすい傾向にあるのか、済生会新潟病院の本間照院長に話を聞いた。

済生会新潟病院 本間照 院長:
高齢者はどうしても生活の中で動く量・運動量が減るとか、水分摂取量が減る。ほかにも色々な病気を持っている人が多く、病気に伴って薬を飲んでいるので、薬の影響で便秘になりやすい人が多い

のどの渇きが感じにくくなる高齢者は、水分補給の頻度が減少し、体内の水分が少なくなることで便が硬くなり、便秘になりやすいという。

また、「いきむ」ことで排便するが、加齢により筋力が低下し、便を排出する力が弱くなることも要因の一つだ。

済生会新潟病院 本間照 院長:
排便のために腹筋・骨盤底筋群という筋肉を使う。力がだんだん弱ってくるのが大きな要素

「いきむ」と脳や心臓に負担が…

済生会新潟病院 本間照 院長:
本来、体の外に出してしまわなければいけない物質が腸の中にとどまっていることで、発がんのリスクが心配だと思うが、厚生労働省が7~8年間調べたものでは、大腸がんの発生率に差はなかったという報告がある。便秘だからといって、大腸がんになりやすいということはなさそうなので安心を

しかし、いきむ力が大きくなったり、時間が長くなったりすることで、脳や心臓に負担が。

いきむときに急上昇する血圧が、息をこらえることを解除したときに急低下。これが危険因子となる。

済生会新潟病院 本間照 院長:
急に血圧が下がる、脈拍数が遅くなることで血が十分回らず、脳梗塞・心筋梗塞を起こしたりすることが報告されている。データとして明らかに数が増えているので、注意しなければいけない

杉山萌奈アナウンサー:
便秘になることで、外出を控える人が増加。活動量が減ると食欲も低下し、結果、身体的機能や認知機能が低下する「フレイル」になりやすいという悪循環も生まれます。たかが便秘、されど便秘。決して甘く見てはいけません

効果的な排便・便秘解消法は?

生活の質を低下させ、脳や心臓疾患のおそれもある便秘。排便しやすくするために効果的なこととは…

まず、本間院長が勧めるのは、排便時の姿勢を「考える人」のように前かがみにすることだ。

済生会新潟病院 本間照 院長:
普段は、直腸から肛門に出るときに角度がついていて、便が漏れないようになっているが、前かがみの姿勢になったほうが、角度が緩くなる。排便時には便器に座って、前かがみの姿勢になると、便が出やすくなると言われている

足台を設けて、足の高さを高くすることでも、角度が緩くなる。

杉山萌奈アナウンサー:
お通じをよくするためには、ほかにも…

▼1日に1リットル以上の水分摂取
▼十分な睡眠をとる
▼食物繊維をとる

杉山萌奈アナウンサー:
手のひらでおなかを時計回りに「の」の字を描くことも、お通じをよくするために実践したいことです

済生会新潟病院 本間照 院長:
本来、人の体は朝ご飯を食べたあとに、便が出るリズムが体にもともとある。便秘の薬をだんだん減らし、うまくコントロールできた方もいた

朝ご飯のあとに、5分間トイレに行く習慣をつけたことで、便通が改善した人も。

改善しない場合は医療機関へ

しかし、「便秘に関する相談のために、医療機関を受診する人は少ない」と本間院長は指摘する。

(Q.通院する方が少ないのはなぜ?)
済生会新潟病院 本間照 院長:

市販の薬もたくさん出ているので、自分でおおまかなところは対応して、それでもダメだったら病院へ行くという認識だと思う。それで間違ってはいないが、自分でコントロールできない場合は、医療機関に相談してほしい

10年ほど前から、便秘に対する新しい薬が6種類誕生している。

済生会新潟病院 本間照 院長:
いずれも古い薬に比べて副作用がないように工夫されていて、なおかつ効果が上がるように開発されている。便秘だから大腸がんになるわけではないけど、大腸がんになったことで便秘の症状を訴える方がいる。そういったところは見逃さないようにしたい

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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