高知市の小学校にある大きな遊具の裏側は、至る所がさびつきボロボロの状態になっているため、高知市は危険性があり、使用ができないと判断した。こうした「危険遊具」が市内の小中学校29校で確認されたが、撤去や新設には大きなハードルがあるという。

校庭に“使用禁止”の遊具が

創立50年を迎えた高知市高見町の潮江南小学校。春らんまんの校庭には、40年前に設置された大きな複合遊具がある。

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しかし、遊具には「遊具使用禁止」の張り紙があった。

玉井新平アナウンサー:
スロープはかつて青色でしたが、塗料がなくなり滑れる状態ではありません。その横の子どもたちが掴んでのぼる格子状のチェーンも完全にさびついています。ジャングルジム状の台の裏側は塗料が一部剝がれ落ち、内部の腐食が進んでいます

この大型遊具は3年前、市の点検で老朽化により危険性が高いと判断され、使用禁止となっていた。

中川弘子校長:
すごく子どもたちが大好きな遊具で、一番使っていた遊具だったのでとても残念に思いました

高知市は2022年7月から11月にかけ、市内の小中学校など50校で遊具の一斉点検を実施した。この結果、6割近くの29校で、計55基の遊具が老朽化などにより「使用不可」と判断された。

撤去や新設にハードル

しかし、こうした「危険遊具」はなかなか撤去できない現状がある。

中川弘子校長:
使えない遊具がその場にあるということもすごく危ないこと。せめて撤去だけでもと思ったが、予算面もあり進まなかったのが現状です

潮江南小学校の遊具は、撤去費用だけで70万円。新しく設置すると数百万円かかると試算されている。学校の予算では難しいのが現状だ。市の予算に頼らざるを得ないが、遊具の撤去や新設は多くの学校が求めていて、市は限りある予算で対応しきれないという。

中川弘子校長:
(市の教育委員会に遊具を撤去してほしいと伝えると)すぐには難しいという返事を頂いた。市の予算がひっ迫していたことも分かっていたのでなかなか無理も言えず…

この結果、潮江南小学校では大型遊具が使用禁止のまま、3年間放置された状態となっている。

地域で広がる支援の輪

「このままではいけない」と立ちあがったのが、地域住民だった。

「ここからみんなが滑ってくる」
「ここからみんなが滑ってくる」

遊具を前に「ここからみんなが滑ってくる」と語るのは、潮江南小学校の卒業生・楠瀬紹秀さん。

楠瀬紹秀さん:
私もこの遊具で育ってきた卒業生の一人。遊具で成長する姿、子どもが遊ぶ姿が見たい

地域の有志が集まり、遊具を新設することに。2023年1月からクラウドファンディングで300万円の資金を集めている。

潮江南小学校の向かいにある居酒屋には、店内のメニューの表紙に、クラウドファンディングへの協力を呼びかけるチラシがあった。

居酒屋まもちゃん・北村護店長:
未来の子どもたちのためにみんなが協力したら良いかなと。みんな一人一人の気持ちがないと絶対に無理なことなので、その気持ちをぼくからも発信していこうと

チラシには潮江中学校の生徒が描いた、新しい遊具をイメージしたイラストが描かれている。地域の30店舗以上がこのチラシを張ったり、募金箱を設置したりと、支援の輪が広がっている。この動きを知った潮江南小学校は…。

中川弘子校長:
こんな遊具にしたいという希望もたくさんもらったので、子どもたちには地域の方に支えられて本校があるということ、子どもたちには愛されていることを伝えていきたいと思っています

潮江南小学校の地域の支援は、危険遊具の問題を解決するモデルケースになるかもしれない。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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