全国から多くの踊り子たちが訪れる、高知の真夏の祭典「よさこい祭り」。
コロナ禍で2020年から2年連続中止となったことで、高知県内の鳴子製造業者が窮地に追い込まれている。一方で、この危機に手を差し伸べる支援の輪も広がっている。

「よさこい祭り」がコロナで中止…鳴子製造業者も状況が一変

香美(かみ)市土佐山田町で、26年前から鳴子を製造している「やまもも工房」を訪れた。
「鳴子」とは、木の板に木片などのバチを取り付けて音が出るようにした打楽器だ。「よさこい祭り」では踊り子がこれを手に持って踊り、なくてはならないものとなっている。
ギャラリーに並ぶ1,000点を超える鳴子は、これまでに国内外のチームから依頼を受けて制作したものだ。

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工房では毎年2万本もの鳴子を手掛けてきた。しかし、コロナの影響を受け「よさこい祭り」が2年連続中止になったことで、状況は一変する。

やまもも工房・公文佑典社長:
「よさこい」があることが当たり前と思っていたが、突然なくなって先が見えなくなり、どうやっていくのやろうと不安がとにかくありました

例年、この時期は連日80本の鳴子を製造し繁忙期となるが、この2年間は以前の1割程度しか注文がないため、工場は週に2日しか稼働していない。職人たちも、もどかしい日々を送っている。

「活気がない」もどかしい日が続く 新商品に取り組むも…

やまもも工房・南場功充工場長:
日々、仕事がないもんで、やっぱり腕が落ちていったりするのが困りますね

スタッフ:
活気がない。早く(よさこい)踊りが踊れるようになれば

コロナで落とした売り上げを少しでも補おうと、鳴子をかたどった防犯グッズなど、新商品の開発にも取り組んできた。しかし、メイン商品である鳴子の穴を埋めることはできなかった。

起死回生の一手「クラウドファンディング」 YouTuberも支援

そこで踏み切ったのが、公開で資金調達を募るクラウドファンディングだ。事業の維持や従業員の給料を確保するための、苦渋の決断だった。
4月5日にサイトを立ち上げところ、18日時点で目標額500万円に対し、全国から430万円あまりの寄付が寄せられた。

やまもも工房・公文佑典社長:
思った以上に反響がありまして、SNSなどを通じてシェアや拡散をしていただいて、お金のご支援はもちろんのこと、本当に温かい言葉を頂きました

一方、支援の輪はさらに広がりを見せている。
大学時代を高知で過ごした京都出身のユーチューバー・川原卓さんは、「よさこい」に魅せられ、現在、高知市で「よさこい」にまつわる動画を配信している。この日は、工房で鳴子の製造工程を自ら体験し、その様子を動画に収めていた。

ユーチューバーである川原さんは「よさこい」にまつわる動画を配信している
ユーチューバーである川原さんは「よさこい」にまつわる動画を配信している

川原卓さん:
正直、僕の影響力なんて微々たるものなんですけど、こういう風に裏で支えて下さっている業者さんのことも皆で知っていけたら、皆で次につなげることができるかなと思って

公文社長は、今回の決断により、「よさこい」が育んできた人と人のつながりをあらためて実感したと話す。

やまもも工房・公文佑典社長:
コロナが明けて「よさこい」ができるようになった時は、今まで以上の鳴子が作れるように、今のこの時間を大事にして、努力して頑張っていきたい

やまもも工房では、6月2日までクラウドファンディングで運営資金を募っている。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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