一風変わった菓子、まんじゅうをのりで巻いた「のりまん」。傷みやすい巻きずしの代わりに仏事で出すようになったと言われていて、長野県の安曇野を中心に食べられている。コロナの影響を受けつつも、和菓子店は食文化をつないでいる。

お彼岸の味…まんじゅうをのりで巻く

お彼岸の墓参り
お彼岸の墓参り
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お彼岸の墓参り。春と秋の彼岸やお盆に安曇野などで一風変わった菓子が販売されている。

それが「のりまん」。あんこ入りのまんじゅうが輪切りにされていて、すしの「太巻き」のようにのりが巻いてある。

直売所では「彼岸の入り」から店頭に並べている。

直売所で「のりまん」を手に取る人
直売所で「のりまん」を手に取る人

安曇野市・70代女性:
小さい時から、生まれた時から食べています。いつもお彼岸やお盆に仏壇にお供えしたりしています

店頭に並んだ「のりまん」
店頭に並んだ「のりまん」

聞き覚えのない人も多いかもしれない。郷土食に詳しい県立大学の中沢教授に聞いた。

長野県立大学・中沢弥子教授:
(のりまんは)のりでおまんじゅうを巻いた「のりまんじゅう」の太巻き。仏事に使われるということで、一つにはおまんじゅうを引き出物にしていて、それを無駄にしないように食べ方を変えて、のりで巻き直して食べ、それを作るようになった。傷みやすい巻きずしの代わりにまんじゅうを巻いたものを仏事で出すようになった。100年以上前からあったのではないか

長野県立大学・中沢弥子教授
長野県立大学・中沢弥子教授

形が蓮(はす)の実に似ている

のりは「塩の道」で入ってきたとみられ、食べられている地域は大町市から塩尻市にかけて。地域の仏事に欠かせないものとなってきた。

安曇野市の和菓子店で作っている様子を見せてもらった。

まず、まんじゅう。こしあんを生地で包み細長く伸ばして長さ40センチほどの棒状にする。

3本のまんじゅうを海苔で巻く
3本のまんじゅうを海苔で巻く

同じものを3本作ったら、およそ15分蒸してから3本をまとめてのりで巻く。

これを輪切りにすると白と黒の断面が特徴の「のりまん」の完成だ。

輪切りにする
輪切りにする

店主の早川さんはこの形、あるものに似ていると話す。

清水屋製菓・早川栄一さん:
(形が)蓮(はす)の実に似ている。仏事だから蓮の花というのを聞いたことはあるけど定かではない

やれる限りはやっていく

注文が多いのはやはりお彼岸やお盆。だが、ここ数年、需要が減ったと言う。

清水屋製菓・早川栄一さん
清水屋製菓・早川栄一さん

清水屋製菓・早川栄一さん:
コロナ前とコロナ後では数量的に全然違いますね。昔は葬式というと式が終わった後、50人とか100人集まって飲み食いしたけど、家族葬になったから減っている、3分の1とかそんな感じ

コロナ禍で大人数で集まることが難しく葬儀や法要も様変わり。それでも早川さんは大事な食文化として残していきたいと話している。

清水屋製菓・早川栄一さん:
だんだん縮小してきて出る数が減ってますから、もしかしたらうちでやめたら消えてしまうかなということもあるけど、やれる限りはやっていきたい

(長野放送)

長野放送
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