石川県と金沢市の希少伝統工芸に指定されている加賀竿。江戸時代から伝わる技法で作られる加賀竿は美術工芸品としても定評がある。加賀竿の文化を継承し、後世に伝える中村滋さんを取材した。

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加賀藩の武士が体の鍛錬でも使っていた加賀竿

竹内章アナウンサー: 
こちらが工房ですか?
中村滋さん:
そうですね、こちらで仕事をしています。

竹内アナ:
こちらが加賀竿になるんですね。
中村さん:
江戸時代から伝わるアユの毛針用の竿です。鮎ドブ竿というんですけれど、これがずっと昔から伝わる金沢伝統の竿です。

中村さん:
加賀藩の武士が江戸時代、体の鍛錬を兼ねながらアユ釣りをやっていたそうです。

竹内アナ:
確かに持つと重量感がありますね。

中村さん:
単体だとそうでもないが、竿を伸ばすと応援団が旗を持っているみたいな感じで、非常に重たいです。

竹内アナ:
素材の竹はどうしているんですか?
中村さん:
8~9割は自分で石川県の竹を取っています。

竹内アナ:
加賀竿の工程はどれぐらいあるんですか?
中村さん:
細かい作業を入れると120ぐらい。

中村さん:
今、若い子に人気なのがタナゴ竿。最近若い人が好んでいて、仕事行く前に竿を忍ばせて楽しんでいる。釣って、タナゴを愛でて放流して、仕事に行くと。

実用性だけでなく見た目も兼ね備えた竿は美術品的要素も

竹内アナ:
加賀竿の特徴は?
中村さん:
この黒く塗ってある場所は全部糸が巻いてある。絹糸を巻いて漆で固めている。丈夫な作りが加賀竿の特徴です。

中村さん:
絹糸は火に強いし、漆も染み込みやすい。

竹内アナ:
漆は何のために塗るんですか?
中村さん:
竹は縦に割れてしまいます。なので糸を巻かないとパキンと割れてしまう、なので漆で固めて綺麗にするために何度も手をかけてフラットにする。その上からいろんな色を乗せていく。そういう工程になりますね。
竹内アナ:
丈夫にしつつ見た目も綺麗にってことですね。

竹内アナ:
加賀竿職人は今、どれぐらいいるんですか?
中村さん:
基本的には僕だけなんですけれど、弟子が2人通って来ています。

竹内アナ:
後継者も居て安心ですね?
中村さん:
ちょっとホッとしているが、まだまだ分からないですよね。

竹内アナ:
漆も塗られていて芸術品というか美術品みたいな。
中村さん:
工芸品と言いますか、美術品というジャンルでもある。なので加賀竿を少しでも皆さんに知ってもらえればと思います。

(石川テレビ)

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