2023年、「住みたい田舎」ランキングで全国1位となった愛媛・今治市。しまなみ海道の海と離島も魅力だが、沿線にある「伯方島」の移住者の手で生まれている新たな魅力を取材した。
地域をつなぐ毎朝のラジオ体操
伯方島を案内してくれたのは、地域おこし協力隊・山之内由香さん(43)だ。山之内さんは、「見せたいもの」が神社の境内にあるという。
名護谷希慧アナウンサー：
にぎやかな音も聞こえてますが
地域おこし協力隊・山之内由香さん：
聞いたことのある音楽かと思います
地元の人々が、おなじみの音楽に吸い寄せられるように集まり、ラジオ体操が始まった。
毎朝10時から神社の境内に島民約20人が集まって体を動かしている。
2月で丸4年を迎えた島のラジオ体操は、ひとり暮らしのお年寄りの安否確認にも役立つ大事な場にもなっている。
名護谷希慧アナウンサー：
皆さん、おいくつでいらっしゃるんですか？
ラジオ体操に参加している島民：
81です。私ら、87、90よ。もうあんた
ラジオ体操に参加している島民：
2年前に主人が亡くなって、家に引きこもってたら近所のお友達が「出ておいで」って声をかけてくれてね、ここへ来たらみんなとお話できるし
ラジオ体操に参加している島民：
会うのが楽しみ、みんながね。体操よりおしゃべりが楽しみ（笑）
名護谷希慧アナウンサー：
それが元気の秘訣になりますよね
ラジオ体操に参加している島民：
そうです。健康第一やろ。何やっても
伯方島を選んだ理由は「開山の桜」
名護谷希慧アナウンサー：
伯方島を選んだのは理由があったんですか？
地域おこし協力隊・山之内由香さん：
もともと松山出身なので、日帰り旅行にしまなみ海道ってすごくいい距離で、伯方島の景色が魅力的でした。一番最初に思ったのは「開山」の桜。1,000本ほど桜が咲いているので圧巻でした
名護谷希慧アナウンサー：
それが移住の決め手なんですね
今治市は、全国販売の雑誌が発表する「住みたい田舎」ベストランキングで、2023年、全ての年代から支持を集め4冠を達成。伯方島でも移住してきた人たちが島に新たな魅力を生み出している。
地域おこし協力隊・山之内由香さん：
次に紹介したいのは、木でできた建物。ゲストハウスになります
名護谷希慧アナウンサー：
ゲストハウス。この海の目の前に
地域おこし協力隊・山之内由香さん：
そうなんです。2月23日にオープンしたばかりの
ゲストハウス「伯方plus+」は、海が一望できる抜群のロケーションが自慢だ。
オーナーは古川圭一さん・昌子さん夫妻で、「サイクリングしまなみ」への参加をきっかけに、4年前に愛知県から移住した。
オープンしたばかりのゲストハウスにうかがった。
名護谷希慧アナウンサー：
広い！大きな窓！いい眺め！目の前海ですもんね
伯方plus+・古川圭一さん：
ここが一番こだわったところで、伯方島の伯方ビーチのきれいな景色を存分に楽しんでもらおうと
ソファに腰をかけた時、ちょうどいい高さになるよう調整された大きな窓。
黄昏時には、また違う表情を見せてくれる。
名護谷希慧アナウンサー：
どうしてゲストハウスを作ろうって思われたんですか？
伯方plus+・古川圭一さん：
伯方島って結構、通り過ぎられちゃう島で、少しでも島に泊まって、島の中を回ってもらってというのができたらなと思って
地元産の果物で新たなお土産も
伯方plus+では、島の新たなお土産も販売している。
妻・昌子さん：
こだわりは、伯方島でとれたものを中心に仕入れて作っていく。私たち、よそから来て、こんなにかんきつの種類があるってことに感動したので
島で育ったかんきつを砂糖とレモンで煮詰め手作りするジャムは、季節にあわせて約10種類ほどが並ぶ。
名護谷希慧アナウンサー：
イチ押しって何ですか？
妻・昌子さん：
やっぱり「あまくさ」のジャムです。私たちがこの島に来て初めて自分たちで作ったかんきつが『あまくさ』なので、やっぱり思い入れもありますし、今ちょうど旬なので
名護谷希慧アナウンサー：
すごくとろっとろですね。ブルップル、とろっとろで、すごく濃厚。甘みがしっかり来て、ほろ苦さもありますね
古川さん自家製の「あまくさ」は化学農薬を使わないため、表面に傷がつきやすく、そのまま商品にできないものも出てくるが、味はもちろんピカイチ。そんなおいしい果実を使った生搾りジュースも始めた。
名護谷希慧アナウンサー：
本当に濃い。ちょっと赤みがかったぐらいのオレンジ。おいしい！
妻・昌子さん：
ここに来て、伯方島の魅力っていうのを感じてもらえれば、私たちはそれがしたかったことなので、そうなるといいなと思っています
ピザに地元産ジャムを使用、大人気に！
2022年8月にオープンした「Pizzeria da ISOLANI」。
地域おこし協力隊・山之内由香さん：
先ほどの「あまくさ」のジャムを使ったピザが食べられるお店になります
この店も大阪から移住した夫婦が経営している。
Pizzeria da ISOLANI・越智翼さん：
軽さとモチモチさを同居させるのが僕の狙いですね
こだわりの生地にイタリア産サラミとモッツァレラチーズをたっぷりとのせる。
名護谷希慧アナウンサー：
ここまではよく見るピザのイメージですけど、そこにジャムなんですね
Pizzeria da ISOLANI・越智翼さん：
あまくさのジャムが自然な甘さなので、そんなに甘ったるくならない
名護谷希慧アナウンサー：
おいしい！甘じょっぱさ、最高です。甘いジャムがチーズとの相性抜群で。生地、薄いんですけど、とってももちもちしてて食べ応えもあります
Pizzeria da ISOLANI・越智翼さん：
極力、地元の食材を使いたいというのもあって、いろいろ試してる中でこれいける！っていうのが生まれた感じですね
名護谷希慧アナウンサー：
皆さんの反応はどうですか
Pizzeria da ISOLANI・越智翼さん：
評判はめちゃくちゃいいです
あまくさジャムのピザは、もともと2月限定メニューとして登場したが、あまりの人気ぶりに3月末まで販売を延長。「移住者コラボ」で生まれた今だけの島だけの味だ。
名護谷希慧アナウンサー：
いろいろご紹介いただきましたけど、皆さんに一番伝えたい伯方島の良さは？
地域おこし協力隊・山之内由香さん：
やっぱり人です。人の温かさをぜひ知っていただきたいですね。今、空き家がたくさん出ているので、空き家に移住者の方がどんどん入っていただいて、お店をされる方も増えるでしょうし、新しいものを伯方の方が知る機会が増えたらいいなと思っています
(テレビ愛媛)
