「国際女性デー」だった3月8日に、SNSに投稿された1本の動画が大きな話題を呼んでいます。

下りのエスカレーターを必死に上る女性
下りのエスカレーターを必死に上る女性
この記事の画像(10枚)

“下り”のエスカレーターを必死に“上り”続ける女性。

隣にある上りのエスカレーターに乗った男性に追い越されます
隣にある上りのエスカレーターに乗った男性に追い越されます

上っても、上っても、上がれない女性に対し、その横で“上り”のエスカレーターに乗って自動的に上がっていく男性たち。

そして最後には、こんなメッセージが…。

「Women are in situation like this. (女性はこのような状況に置かれている)」

この動画は、「女性が職場でいくら頑張っても役職につけない」日本の現状を訴えたもので、2020年には広告映像のコンテスト、ヤングカンヌの映像部門で金賞を受賞したといいます。

SNSに投稿されると、「風刺として良い」という声がある一方で、「逆走する女性をばかにしている?」と捉える人も。

“捉え方”は様々…制作者に話を聞いた

さらに、街で女性に動画を見てもらうと…

50代女性:
すごく象徴していると思います。社会の荒波にあらがって前に進もうとする女性っていう。
30代女性:
逆走?(女性が)悪いことをしているみたいな?

と、メッセージの捉え方は様々です。
この現状に、動画を制作したクリエイティブディレクターの富永省吾氏はこう話します。

クリエイティブディレクター 富永省吾 氏:
日本に現存する男女の“ジェンダーギャップ”っていうところを表現したかったっていうのがひとつあるんですが、(動画を見た人から)おとしめる発言だったり、個人攻撃のものもあったりとか。そういうのを見ると悲しいなとは思いましたね。 

3月、イギリスの経済誌「エコノミスト」が発表した「女性の働きやすさランキング」で、日本はOECD・経済協力開発機構の加盟29カ国のうち28位と、ワースト2位という結果に。
富永氏は、そうした「日本社会の現状を訴えたい」思いと、「世間の受け止め方」との差に戸惑っているといいます。それでも…。

クリエイティブディレクター 富永省吾 氏:
作っているものが、そもそもジェンダーギャップへの啓発動画なので、ギャップの無い未来になればいいなという願いを持ってはいます。

「めざまし8」のコメンテーターを務める鈴木円香氏は、動画を見てこう話します。

起業家・ニュースメディア「ウートピ」元編集長 鈴木円香 氏:
(見た人からの)ネガティブな反応というのもわからなくはないですが、私は社会人として女性として働く中でこういう感覚はずっと持ち続けてきたので。「働きづらい」「生きづらい」というのは。それに関しては共感するなと思いました。
もうひとつ思ったのは、日本の社会って右側の順調に上がっているように見える男性側というのも、やはり組織の中で働きづらさというのは感じていて、自らこのエスカレーターから降りようとしている男性もいるので、「全ての性別にとって働きやすい」職場になっていかなくてはいけないんだろうなと感じましたね。

(めざまし8「NewsTag」より 3月10日放送)