サブスクリプション、略して「サブスク」。保管場所や処分に頭を悩ませる大型家具を「所有」するのではなく、一定期間「利用」するレンタルサービスがある。新生活や転勤時の“身軽さ”を実現する企業を取材した。
気になるレンタル期間や料金は？
あるモデルルームを取材に訪れた木村仁美アナウンサー。
木村アナ：
かわいいお部屋。この家具を借りられるんですか？思っていたよりもおしゃれですね
リビングにはソファやテレビ台、一人暮らしに良さそうなダイニングテーブルなどが置かれている。
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
通常の家具屋さんではなかなか見つけらないデザインだったり、スタンダードな家具からいろいろと取りそろえるようにしています
となりの部屋にあるベッド、ローテーブル、チェスト、ハンガーラック、さらに天井に取り付けるおしゃれな照明器具まで、すべてレンタルできる。
気になるのが料金。ベッドから照明器具まで5点の家具をレンタルした場合、1カ月にかかる費用は…
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
すべて合わせて月々6745円になります
これらの家具は「カグカリーノ」というECサイトで1点からレンタルすることができる。基本のレンタル期間は3カ月。それ以降は返却したり、別の家具に変更することも可能。
使う期間が限られるキッズアイテムなど、安い商品は月500円から借りられる便利なサービスだ。「人が使ったものは…」と抵抗を感じる人のために、レンタル終了後のベッドは中のコイルを残して外側を張り替え、再び貸し出すという。
業者向けビジネスが“個人向け”へ発展
このビジネスを展開するのは広島市西区に本社を置く「ケイデザインベース」。
もともとモデルルームなどで家具をディスプレーする会社だった。当時はディスプレー用の家具は「モデルルーム側が買う」のが常識。
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
保管が必要なく、業者が利用しやすいサービスを考えてレンタルにしました
売り出し中の家やマンションの室内を、家具や照明、小物やグリーンで演出する「ホームステージング」。そのために必要な家具をレンタルするという“新しい常識”が生まれた。そして、このビジネスは思わぬ方向へ発展していく。
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
賃貸物件のホームステージングをさせていただいた時に「このまま住みたい」というお客様が多いとか「この家具は借りられないのか」という声があるのを聞いて、個人に貸してもいいのではないかと思いました
そこで2020年からスタートしたのが個人向けの家具レンタルECサイト「カグカリーノ」。サイトから注文すると無料で専門業者が配送・組み立て・設置まで行う。個人ユーザーも利用しやすい新ビジネスだ。
ディスプレー商品を独自で開発
レンタルビジネスから、さらに発展。「もっと手軽に」を追求し、独自で開発した商品もある。その商品が入った大きなケースを背負う木村アナ。
木村アナ：
女性でも背負えますね。軽くはないですけど1人で運べる重さです
木村アナが背負っているケースの中から、真っ白なプラスチックの板が何枚も出てきた。それを組立てると、実物大ほどのテレビ、テレビ台、テーブル、ソファに早変わり。
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
これは「お気楽ホームステージング」という商品で、弊社で一から開発したプラスチック段ボール製の家具です。賃貸物件のオーナーなどが自分たちでディスプレーする際、より簡単にホームステージングを始められるように考えました
「お気楽ホームステージング」は不動産業者向けの買い取り商品。家具と言っても実際に使うことはできないが、小物で装飾すればモデルルームなどのディスプレーが簡単にできる優れものだ。
なぜ、そこまでホームステージングにこだわるのか？
室内を家具や小物で演出して実際の暮らしをイメージさせることが、販売促進に大きく影響するという。
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
賃貸物件をホームステージングした場合、他の部屋が空いていても家具のある部屋を契約したいという声が多いようです
気に入った家具を“買い取る”人も
ユーザーの負担を軽くするレンタルビジネス。借り手のユーザーが身軽になる一方、貸し手は在庫を抱え負担が重くなる。
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
受注があってから家具メーカーに発注をかけることで、在庫リスクを減らす工夫をしています
さらに在庫を減らすために有効なのが、商品の販売。レンタルした家具を気に入って買い取りたいというケースもあり、サイトの「買い取り依頼フォーム」から申し込める。買い取り価格は貸し出された期間の長さによって異なるが、最大で購入価格の80％引きに。
ケイデザインベース・川﨑恵子 社長：
一度利用されたお客様はだいたい「すごく良かったよ」と言って、次も使っていただいています
モノを持たない時代に誕生した「家具のサブスク」。レンタルやシェアに馴染みのある若い世代を中心に広がっていくかもしれない。レンタルだからこそできる思い切った選択も楽しめそうだ。
（テレビ新広島）
