2月に新潟県などの映画館で上映が始まった「みんな生きている~二つ目の誕生日~」。これは白血病と闘った新潟県糸魚川市出身の俳優・樋口大悟さんが自らの体験をもとに企画し、主演を務めた命の物語だ。骨髄移植を経験した樋口さんが伝えたいメッセージとは。
空手の稽古中に…白血病と診断
映画は空手に情熱を注ぐ主人公が、稽古中に倒れる場面から始まる。全国大会を控える中、主人公が宣告されたのが、血液のがんと言われる「急性骨髄性白血病」。実はこの物語は…
この記事の画像(10枚)樋口大悟さん:
僕自身、若い頃25歳で発病したのですごく苦しんだし、めちゃめちゃ泣いた
企画・原案・主演を務める樋口大悟さんの実体験が題材の映画だ。
樋口大悟さん:
今も苦しんでいる方がたくさんいらっしゃる。僕が主演することによって、「こんなに元気になれるんだ」という勇気や希望を持ってほしいなと、自分で企画から主演までやった
余命宣告は2年 30歳で“骨髄移植”
糸魚川市出身の樋口さんは25歳のときに白血病と診断。得意の空手を生かし、アクション俳優という夢を追っている最中のことだった。
樋口大悟さん:
「本当に死ぬんだな」と思った。最初は「2年くらい」と余命宣告された
苦しい抗がん剤治療を経て一度は寛解するが、その後再発。
助かるための唯一の方法として30歳のときに骨髄移植を受けた樋口さんは、その日を「2つ目の誕生日」と表現する。
樋口大悟さん:
僕も2つ目の誕生日を1歳2歳と重ねていくうちに、ドナーさんへの感謝が大きくなっていって、生きているうちに「これは僕が絶対に伝えたい」と思った。診断されてから20年くらい経つが、その20年の思いを映画の中に全部込めた
過酷な闘病生活 家族の葛藤を描く
同じく白血病と闘い復帰した、サッカー・アルビレックス新潟の早川史哉選手の著書を読み込み、役作りをしたという樋口さん。
髪の毛が抜けたり、口にヘルペスができたりという闘病生活の過酷さもリアルに描写している。さらに…
樋口大悟さん:
ドナーサイドを絶対に描きたいと思った。白血病をテーマにした映画は結構あるが、この作品ほどドナーを描いた作品はないと思う
物語では、松本若菜さん演じるドナーの家族の葛藤も描かれている。
そのドナーが住む場所として設定されたのは、樋口さんのふるさと・糸魚川市。フォッサマグナミュージアムやヒスイ海岸など、美しい情景の糸魚川が物語の重要な舞台となっている。
樋口大悟さん:
糸魚川大火が発生し、僕が遊び回っていたところが燃えているのを東京で見ることしかできなかった。改めて大事なところだと感じたし、その頃、まだ復興しきれていなかったので、僕の頭の中では、ずっと何か一緒にできないかなと。すてきな景色や人々が伝わればいいなと思って
骨髄移植を受けられるのは6割未満
現在、約54万人がドナー登録しているものの、移植を受けられるのは6割に届かず、厳しい現状に置かれている白血病患者。
「命の贈り物」を受け取った樋口さんは、映画を通して感謝や希望を届けたいと話す。
(Q.樋口さんにとって「生きる」とは)
樋口大悟さん:
生きる…、僕はここに“ある”こと。存在の“在”と書いて、在ることが僕にとっては生きるということ。細胞を全部使って芝居の中で表現していく、体動かしているときが「生きる」という感じがする。今、闘われている方やご家族の方には、信じて、信じて、信じ抜いてほしい
(NST新潟総合テレビ)