「スキー」と「登山」を組み合わせた注目の競技、通称「スキーモ」。アルプスの国境警備隊の訓練がルーツと言われていて、ヨーロッパで人気のスポーツだ。次の冬季オリンピックの種目に採用され、信州でも熱が高まっている。
スキーと登山を組み合わせた「山岳スキー競技」

スキーで雪山を登る、そしてスキーを背負い、走って登る区間も。下りは再びスキーを履き、一気に滑走。これが山岳スキー、通称「スキーモ」だ。
文字通り、「スキー」と「登山」を組み合わせたスポーツで、アルプスの国境警備隊の訓練がルーツと言われている。ヨーロッパで人気があり、3年後、イタリアで開かれる冬季オリンピックの種目に採用された。
雪山を自由に動き回る

(重盛赳男アナウンサー)
ウィンタースポーツ王国・信州でも注目が集まる、スキーモ。私も体験します!
教えてくれたのは、スキーモ歴2年の上正原真人選手(25)。日本選手権にも出場している。
上正原真人選手:
(スキーモとはどんなスポーツ?)雪山を自由に動き回れるというのが、すごく魅力的なスポーツ
スキーを背負って走るため、板はアルペン用に似ているが、かなり軽量。ブーツも軽く、グリップが効くようになっている。
大会にもよるが、バックパックの中には、万が一に備え登山に必要なスコップ、ビーコン、「プローブ」という探り棒などを入れる。
シールを貼って、斜面を登る

登る前に、ある「準備」をする。
上正原真人選手:
板の裏に「シール」という、滑り止めのようなものを貼っていきます
シールを貼って斜面を登ると…。

(重盛アナウンサー)
進んでますね!シールがしっかりと効いていますね。全く後ろに滑り落ちていくような気配はありません
上正原真人選手:
地面にスライドさせていくように、なるべく雪面から板を離さずにスライドさせていく
急斜面の区間はスキーを脱ぎ、バックパックに固定して登る。
装備を転換し、下り斜面を滑走

レースの結果を左右するのが、装備の転換「トランジット」。
下りの区間に来たら…
(重盛アナウンサー)
シールを一気にはがしていく!ここのスピード感、気持ちがいいですね
滑り止めのシールを外しブーツを板に固定。
上正原真人選手:
そこで10秒、20秒、30秒とか差が出ることもあるので、ここで順位が入れ替わることが多い
そして、一気に滑走する。

(重盛アナウンサー)
雪の上を自由に動くことができる楽しさは、すごく感じました。ただ、それぞれ違う筋肉を使って、違う動きをしているので、その分の難しさも感じました
他のスポーツから選手が参入
スキーモの競技人口は、現在、全国で200人ほど。オリンピック採用でマウンテンバイクやクロスカントリースキーなど、山を舞台とするスポーツから参入する選手が増えている。

上正原選手も、元々は山岳などの不整地を走る「トレイルランニング」や「スカイランニング」の選手。世界大会に出た経験もある。
上正原真人選手:
ヨーロッパの速い選手たちが、冬のトレーニングでスキーモをやっている選手がすごく多いと知って、何かいい効果があるんじゃないかと始めました。(スキーモが)今まさに盛り上がり始めているところなので、僕もその波に乗って、競技力を向上させていけたら
小林華蓮選手 「生きてるな~」

将来が楽しみな若手がいる。小林華蓮選手(17)。飯山高校の3年生で、世代別の日本代表だ。
小林選手も「スカイランニング」のユース世界選手権で、3位に入ったランナー。
山が舞台の競技に取り組む「五刀流」の選手として、以前、ニュースでも紹介した。スキーモでも実力を伸ばしている。
小林華蓮選手:
(山岳スポーツの魅力は?)登りで心臓を追い込めるので、自分の限界を知れるのが、一番いいところ。(スキーモの魅力は?)雪の上でもこんなに自由に動けるんだと思って。それに加えて、夏みたいに心臓も追い込めるし、むしろ夏より追い込めるんじゃないかと。生きてるな~という感じがして、私は登りが大好き
小林選手の強さの秘密は、幼いころからクロスカントリースキーで培った体力。これを武器にスペインで開催した世界選手権にも出場した。
そして、いずれはオリンピックも見据えている。

小林華蓮選手:
メダルを一枚でも持ち帰ってきて、山岳スポーツが少しでも日本中に広まったらいい。できれば出たいですけど、次の五輪のその先の(2030年)を目指せたら
雪山に挑む楽しさに、道具を扱う難しさも加わったスキーモ。
オリンピック採用を追い風に山岳県・信州でますます、盛んになりそうだ。
(長野放送)