3月に入り、日差しが徐々に強くなるこの季節に注意が必要なのが「日光過敏症」。

日光に露出した部分が赤く痒くなり、ひどくなると腫れたような症状を引き起こす、いわゆる“日光アレルギー”だ。

日焼け止めでは防げないとされる日光過敏症の原因と対策について、よしき皮膚科クリニック銀座の吉木伸子院長に聞いた。

肌が日差しに慣れていない…春先までは要注意

ーー日差しが急に強くなってきたが注意すべきことは?
日差しが急に強くなる季節は、「日光過敏症」いわゆる日光アレルギーを起こす人が急に増えてきます。

ほんのわずかな日光に当たっただけで、露出した部分が真っ赤になったり、痒くなったり、ひどくなると腫れたようになってしまいます。境界線がついたみたいに露出した部分だけに限定した皮膚炎が起こります。

よしき皮膚科クリニック・吉木伸子院長
よしき皮膚科クリニック・吉木伸子院長
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ーーそこまで気温も日差しも強くないが?
まだ一番日差しが強い時期ではありませんが、湿度が低いため、こういう時期は意外と日光が地上まで透過してしまうんです。

真夏よりも、日差しがだんだんと強くなっていく今ぐらいから春先頃の時期に注意が必要です。

日光過敏症
日光過敏症

ーーそれは肌が慣れていないから?
そうです。
この時期はまだ、肌があまり日差しに慣れていないため、急に当たることで症状が出ます。

暖かくなってくると、皆さん外出したり、外でランチしたくなりますよね。そうすると、冬場ずっと日光に当たっていなかったのに、急に露出され、日光皮膚炎や日光過敏症を起こすことがあるんです。

肌を衣類で覆い、徐々に日光に慣らす

気温の変動が激しく、花粉も舞う今の季節は、肌が非常に敏感になり、トラブルを起こしやすいという。

肌をしっかり保湿して、外出時はなるべく肌を露出しない服装で、日傘や帽子で日光を避けることが重要だと吉木院長は話す。

ーーどういったメカニズムで肌が荒れる?
特に顔に関して言いますと、乾燥していると余計に紫外線を吸収しやすくなり、日光皮膚炎を起こしやすくなります。

角質層は、日光とか紫外線を吸収して肌を守っていますが、その角質がダメージを受けてしまうわけです。

要するに乾燥した状態だと紫外線が肌の中に透過しやすくなるので、「乾燥している肌は日焼けしやすい」ということです。

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ーー今の季節に最も注意すべきことは?
今は一番気温の変動が激しい時期で、花粉も飛んでいます。
それによって肌が非常に敏感になりやすい時期です。

ですから、お手入れはなるべくシンプルにして、あまり過剰なケアをしないことと、あとは、しっかり保湿をしていただくことです。

日焼け止めクリームは、日焼けが予想される場面では適宜使った方がいいですが、毎日塗るとそれによって肌が乾燥したり、負けてしまう人もいるので、敏感肌の方は気をつけながら使ったほうがいいです。

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ーー推奨する防ぎ方は?
まず急に直射日光に当たらないと言うことです。
衣類とかで肌を覆って徐々に弱い日差しから慣らして行くことが大切になってきます。

日光過敏症の場合は、紫外線以外の「可視光線」で発症する人も多いので、日焼け止めを塗っても意外に防げない場合があります。

日焼け止めを塗る代わりに衣類で防いだり、お顔の場合はファンデーションを塗っていただくと紫外線対策になります。

1日20分程度の“適度”な日光浴

一方で、日に当たることで、体の骨を丈夫にするビタミンDが体内で生成されるため、1日20分程度の日光浴は推奨されているという。

ーー日光にはなるべく当たらない方がいい?
日に当たることのメリットとして、骨が丈夫になるビタミンDが体で作られるので、ある程度は当たった方がいいです。

この適量というのは、だいたい両手のひらぐらいの面積で、20分くらい日に当たることが適度な日光浴の仕方です。

それを超えてしまうと、日光皮膚炎を起こしたり、良くないトラブルにつながってしまいますので、長時間外に居る時はやはり、衣類で肌を覆ったり、帽子などを使って日焼け対策をした方がいいです。

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ーー半袖はやめた方がいい?
紫外線は、「肌の老化」の原因となります。

半袖で外出すると、腕の部分が日焼けしてシミなどいろいろな肌老化の原因になりますので、気にされる方は衣類で覆うとか、UV手袋をした方がいいです。

しかし、先ほども言いましたが、紫外線にはメリットもあるので、30分~1時間程度なら日に当たることも悪くないです。

ただ、赤くなって痛くなるまで日焼けしてはダメです。水泡ができるほど日焼けしてしまうと皮膚がんのリスクが跳ね上がるといわれています。

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ーーまだ寒暖差は続きそうだが、アドバイスは?
しばらくは三寒四温と言いますか、寒暖差の大きい状態が続いて、自律神経も乱れやすく、肌がとても敏感な状態になるので、お手入れはなるべくシンプルに敏感肌用の化粧品などを使うといいです。

あとは適度な保湿と紫外線対策。これを春先ぐらいまで続けていただくのがいいです。