夏真っ盛り。空を見上げると文字通り「ギラギラの太陽」が私たちを照らしつけている。

昭和時代、夏休みが終わると学校のプールで誰が一番日に焼けたかを競ったりしていたものだ。しかし昨今では、どちらかというと「日焼け派」よりも「美白派」のほうが大勢をしめている。都内の女子高校生は登下校時に折りたたみの日傘を使用している光景も普通になった。

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皮膚科専門医に聞く「日焼け」の問題点

なぜ、これほどまでに「日焼け」に対する意識が変わってきたのか?

日本皮膚科学会専門医ふるはた皮ふ科クリニックの古畑由美子院長に話を聞いた。

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層からできています。皮膚に紫外線が当たると個人差はありますが、まず赤くなり、だんだん黒くなって、いわゆる「日焼け」が起こります。紫外線は細胞の核に含まれるDNAを傷つけてしまうため、紫外線を浴びると表皮の細胞からメラニン産生の指令が出ます。メラニンを周りの細胞に受け渡し、日傘のように紫外線をブロックするのです。こうすることで、大事な遺伝子が傷つくのを防いでいるわけです。

日焼けには細胞の遺伝子を守る働きも

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
近年、医学では日焼けによって皮膚の老化シミソバカスの増加、白内障の発症率の増加などがいわれていれているなど、多くの研究により紫外線を浴びすぎると人の健康に影響があることがわかってきました。

――日焼けはしない方がよいのか?

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
そんなことはありません。適度に日光浴を行うことで、皮膚でのビタミンDの合成、体内時計の調整など様々な効果があります。また、種々の皮膚疾患の治療として紫外線療法も行われています。大事なことは「適度に」そして「日焼け後のケア」です。

日光浴で大事なのは「適度に」と「日焼け後のケア」

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
地球上では太陽からふりそそぐ紫外線の一部をオゾン層がフィルターとしてブロックしています。しかし、世界的にフロンなど温室効果ガスの排出量が増え、オゾン層が破壊されいわゆるオゾンホールが増大しています。オゾンホールは同じような地点にできるものと、状況によって出現と消滅を繰り返すものがあります。成層圏のオゾン層が1%減少すると癌のひとつ「悪性黒色腫」が2%増えるとことが推定されると環境省のHPで紹介されています。

(環境省ホームページより)

油断しがちな眼の紫外線対策

――日差しの強かった日に外出先から戻ると目が充血しているときがあります。これも紫外線と関係ありますか?

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
関係あります。というか一番油断してしまうところかもしれませんね。顔や身体は日焼け止めクリームでがっちりガードする人が多いのですが、日差しの照り返しの強い、釣りやゴルフ、サッカーなど屋外で行うスポーツや作業の際には目の予防が必要です。紫外線での影響には、紫外線角膜炎や眼球の結膜(白目)が翼状に角膜(黒目)に入り込む翼状片、このほか、白内障の発症の危険因子の一つにもなっています。

(翼状片・左目、環境省HPより)

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
また、近年「眼に紫外線が当たると皮膚が黒くなる」という現象が報告されています。眼に紫外線を当てると血中のメラノサイト刺激ホルモンが活性化されて全身でメラニンの形成が増強するといわれており、注意が必要です。また、眼に紫外線が当たると、脳を介して全身の皮膚の免疫系を抑制する反応が起きます。皮膚のみに当たったときにはその部位にしか反応は起きないので、眼からの紫外線を防ぐ重要性がお分かりいただけると思います。

眼からの紫外線で全身の皮膚の免疫系を抑制する反応も

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
眼への紫外線は、帽子を被ることで約20%減るといわれています。また、UVカット機能のあるサングラスや眼鏡の使用で約90%の紫外線がカットされます。色の黒いものは瞳孔を開かせ、かえって目への紫外線量が増えるので、色の薄い製品を選びましょう。大ぶりなタイプならシミができやすい目の周りも覆うことができ、より効果的です。専門店や眼科医と相談されることをおすすめします。

帽子には眼への紫外線をカットする効果も

紫外線対策のポイントは?

――紫外線とうまく付き合う方法は?

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
現代では医学や日焼け止めなどの研究開発も進み、様々な肌や使用する状況によって選択できる商品などが増えています。例えば、紫外線の中でも炎症を起こすUVB=中波長紫外線のブロックを重視するもの、また、赤くなったり水ぶくれにはなりにくいが色素を黒くするUVA=長波長紫外線もブロックするものなどをうまく利用したらいかがでしょうか?肌が弱い方には、紫外線吸収剤を使用していない製品もおすすめです。日焼け=熱傷です。水ぶくれや痛くて眠れないほどという際は軽く考えずに皮膚科を受診した方が良いケースも多いということも忘れないでください。

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子院長
時代や環境とともに「日焼け対策」も変化しています。日焼け止めでだけではなく日傘や帽子等を組み合わせながら、自分に合った対策をとった上で、夏を満喫してみてはいかがでしょうか?

【執筆:フジテレビ 解説委員 小泉陽一】

記事 1 小泉陽一

フジテレビジョン解説委員・危機管理 1991年フジテレビジョン入社。アナウンス室、ニュースキャスター、社会部、経済部、報道番組ディレクター、NY支局、パリ支局長、秘書室、WE編集長を経て現職。メディアリテラシーや時事問題を学生や地域の人々と共に考えるのが最近のライフワーク。