百貨店に男女複合型のアパレルフロアがオープンした。
“ジェンダーレス“男女一緒に楽しめるフロアが誕生
3月1日、東京の松屋銀座にオープンしたのは、紳士服売り場を改装した、メンズもレディースも扱う“複合型フロア”。

コロナ禍でリモートワークが増え、仕事帰りに紳士服売り場に立ち寄る客が減るなか、来店が増えた夫婦やカップルなどをターゲットに、“ジェンダーレス”な着こなしや、“シェアコーデ”を提案したいとしている。

松屋銀座・木村麻里課長:
男性女性分かれてそれぞれのフロアでお買い物をして、その後レストランなどで合流されるといったシーンをよく見かけていて、一緒にお買い物ができるゾーンがあってもいいのかなと。性別に関係なく、お客様のお好みや体型に合わせたお品物を選ぶ方も増えています。

先行オープンした一部の区画では、紳士服売り場だった2022年と比べ、売り上げが約5割増加したという。

松屋銀座は、男女一緒に買い物を楽しめる機会を増やしていきたいとしている。
“自分らしさを着よう”というムーブメント
「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに話を聞いた。
内田嶺衣奈 キャスター:
今回の試み、いかがですか?

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
いま、店頭に並んでいるブランドの多くは、いまだにメンズとレディースという2つのカテゴリーで商品を分類しています。
ファッションとは自己表現であるからこそ、誰かが決めた「男らしさ」や「女らしさ」という時代遅れの服を脱いで、“自分らしさ”という服を着よう、そんなムーブメントが起きています。
これを受けるかたちで、誰もが楽しく洋服を選べる売り場に変えよう…というのが今回の松屋銀座の取り組みです。
百貨店の原点は“文化の発信”
内田嶺衣奈 キャスター:
ジェンダーレスファッションは、着こなしの幅が広がりますし、誰かと相談しながらの洋服選びは楽しそうですよね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
店舗の売り場構成とは別に、あまり知られていませんが、日本はジェンダーレスファッションの提案では実は先進国なんです。
例えば、コムデギャルソンやヨウジヤマモトは、この分野の先駆者と言われています。
日本のファッショニスタたちは、洋服やメイクなどを通して「男性か、女性か」という二元論がなくなるよう、様々な機会を通して発信してきました。
ただ、ファッションの先端で「ジェンダーレス」が唱えられる一方、多くの消費者が接する小売の現場では、その理解と実践の遅れが指摘されていました。
それが今、カジュアルブランドのGUなどでも、女性によるメンズアイテムの活用や、男性によるウィメンズアイテムの着こなしの提案などを行うようになりました。
内田嶺衣奈 キャスター:
松屋銀座の試みが、他の百貨店にも広がるといいですね。
一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
セクシュアリティ、年齢、体型などに関係なく、「洋服を選ぶ」という楽しい買い物体験ができると、百貨店に若者が足を運ぶきっかけになるかもしれません。
本来、百貨店とは、単に“モノを売る場所”にとどまらず、“文化を発信する場所”でもありました。
時代を切り開く“文化の発信”という原点に立ち返って、今回のような取り組みが増えると、
百貨店の存在意義が見直されることにつながるように思います。
内田嶺衣奈 キャスター:
女性がメンズの服をオーバーサイズで着るのが流行っていて、私も挑戦してみたいと思っていたのですが、なかなかメンズの売り場に行く勇気が沸かなかったんです。今回のような試みが広がると、より色々なファッションが楽しめそうです。
(「Live News α 3月1日放送分より)