宇宙航空研究開発機構(JAXA)が14年ぶりに行った宇宙飛行士選抜試験に、外科医の米田あゆさん(28)が合格した。

女性飛行士として向井千秋さん、山崎直子さんに次ぐ3人目で、現在は、日本赤十字社医療センターと虎の門病院で勤務している。

東京大学時代の同級生で、同じヨット部に所属していた園田亜斗夢さんに、米田さんの人柄について聞いた。

ほんわか系の和ませキャラ

ーー米田あゆさんとはいつからの知り合い?
大学のヨット部の同期なので、10年ほどです。
あゆちゃんは文武両道で、ヨット部以外にも医学部のゴルフ部やテニス部にも入っていたり、ハーフマラソンとかにも出て、アクティブでした。

園田亜斗夢さん
園田亜斗夢さん
この記事の画像(6枚)

部活が休みのときは、一緒にスノーボードに行ったり、本当に何でもできるというイメージですが、キレッキレという感じではなくて、ほんわかしていて心優しくて、みんなを和ませるキャラでした。

例えば、練習が終わった後、先輩やコーチが話している時に立ったまま寝ていたり、2人でヨットに乗っている時に操作しながら寝ちゃうこともありました。

寝ながらヨットに乗れる人はそういないので、素晴らしい神経を持っているのかもしれないです。

「夢は叶う」と息子に自慢できる存在

ヨット部の女子チームのキャプテンを務めていた米田さんは、部のマドンナ的存在だったと話す園田さん。

文武両道で、今回の合格発表についても仲間の多くは、「最初からいけると思っていた」とさほど驚きはなかったという。

ヨット部のメンバー
ヨット部のメンバー

ーーヨット部に女性部員は何人ぐらいいた?
マネージャーさんは結構いますが、選手でレースに出る人は多くないです。

1年生で入部しても、練習がハードだったり、勉強に打ち込みたい、研究が忙しいなどの理由で辞めちゃう人が多いんですけど、あゆちゃんは医学部の都合で4年生の時は練習に来れない時期もありましたが、基本的には最後まで続けるタフさがあって、一緒に卒業しました。

僕たちにとって“マドンナ”的存在で、先輩や後輩からも親しまれていました。

ーー米田さんが宇宙飛行士になると聞いた時、どう思った?
そんなに驚きもなく、あゆちゃん本人よりも周りの同期の方が最初から「なっちゃうかもね」と期待していました。

募集があったタイミングで、「応募したんだ」と本人から聞いて、ヨット部の他の部員も応募している人がいたので、「頑張って!」といった感じでした。

選考が進んでいる間も、「残ってるよ。今何人残ってる」みたいな感じで聞いていて、彼女は運動もできるし、賢いし、コミュニケーション能力もあるので、『宇宙兄弟』の医者のキャラクター(ヒロインの伊東せりか)と照らし合わせて、「あゆちゃんが選ばれなかったら他に選ばれる人いるのかな?」と思いながら周りは応援していました。

本人は謙虚でまじめで、ただひたすら頑張っていたんだと思いますが、僕たちは行けるだろうとずっと思っていて、今日の記者会見を見ても、すごくかっこいいなと思いました。

JAXAの記者会見で話す米田あゆさん
JAXAの記者会見で話す米田あゆさん

ーーどんな言葉をかけたいですか?
一緒にヨット部で練習していたあゆちゃんが宇宙飛行士になって、誇らしい気持ちと同時に、有言実行で夢を叶えていて素晴らしいと思います。

他力ですけど、自分の子供には「夢は叶うっぽいよ」と言える身近な存在ができて、「ありがとう」という気持ちです。

あゆちゃんに惹かれて後輩が入部

ヨット部のメンバーは、お互いの結婚式、出産祝い、忘年会などで半年に一度は集まるような交流が続いているというが、一方で園田さんの子供が大病をした際は、当時小児外科だった米田さんが親身に相談に乗ってくれたこともあるという。

園田さんの子供を抱く米田あゆさん
園田さんの子供を抱く米田あゆさん

ーー同期やヨット部にとって米田さんはどういった存在?
僕の息子が1歳の時に結構大きな病気をして、その時、丁度小児外科を専門にしていたあゆちゃんは、親身に話を聞いてくれました。

医学部の早い段階から産婦人科か小児外科を目指していて、夜の忙しさなど体力的にも大変な領域だと思うのに、志が高かったです。

宇宙飛行士を目指し始めてからも、トライアスロンや体力的なトレーニングはずっと続けていたみたいで本当にすごいなと思います。

後輩たちもあゆちゃんに魅力を感じてヨット部の練習会に来たり、入部していたと思うので、優しい人柄とおっとりした話し方で、色々なところにファンがたくさんいました。