2023年10月の酒税改正で税率の変わらない“缶チューハイ”を盛り上げようと、ビールの醸造技術を生かした新感覚のレモンサワーが誕生した。

技術を融合した”泡立つレモンサワー”

キリンビールは4月4日から新しいレモンサワーを発売する。

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キリンビールが100年以上のビール造りで培った醸造技術と、チューハイなどのブレンド技術を融合したレモンサワー「麒麟百年 極み檸檬サワー」だ。

麻生小百合記者:
見た目はビールのようなのですが、実際はレモンの果汁をしっかり感じます。シュワシュワというよりも、まろやかな口当たりになっています。

新しく発売されるレモンサワーの泡は、これまでの約8分の1というきめ細かさで、ビールのような泡立ち。

ビール酵母で発酵させたレモン果汁を加えることにより、まろやかな味わいを実現した。

キリンビール マーケティング部 RTDカテゴリーマネージャー・松村孝弘氏:
(ウィズコロナの時代になって)お酒も本格的なもの、満足感の高いものを選ばれる傾向が強まってきたかなと。キリンビール100年の技術を注ぎ込んだサワーの決定版が今回の商品。

10月の酒税改正でチューハイ流入が見込まれる

2023年10月の酒税改正で、第3のビールなどの税率が引き上げられる。

税率が上がる第3のビールから、税率が変わらないチューハイへの流入が見込まれるため、ビールメーカー各社は缶チューハイの開発に力を注いでいる。

サッポロビールも、ポッカサッポロフード&ビバレッジと協働開発したレモンサワーを3月に発売する予定。

市場戦略は 「Ready To Drink」

「Live News α」では、マーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈 キャスター:
泡立つレモンサワー、いかがでしょうか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
アルコール業界にはRTDというジャンルがある。これは「Ready to drink」の略で、直訳すると「すぐに飲めるもの」ということ。

つまり、栓を開けてすぐに飲める商品を表し、今回の「泡立つレモンサワー」のような缶入りのチューハイやハイボールなどを指す。

ビールやワインも広い意味ではRTDに含まれるが、それぞれ市場が大きいため、アルコール業界では別に分けて考えるケースが多い。

アルコール業界は逆風の中にあるが、RTD市場はコロナ禍でも2021年まで14年連続で伸びていた。

いまRTDはレモンサワーが市場を牽引しており、今回の「泡立つレモンサワー」も、その人気を受けたものになる。

内田嶺衣奈 キャスター:
なぜレモンサワーが、そこまで人気なのでしょうか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
レモンフレーバーは、飲み口が爽やかなので、初心者にとっては敷居が低く、アルコール慣れした方でも飲み飽きないため、幅広い層に支持されている。

また、甘すぎないため食事とのペアリングも良く、家庭では夕食とともに、レモンサワーを楽しんでいる方も多い。

この様々な食品との相性が良く併売も見込めるレモンサワーは、小売バイヤーにとっても扱いたい商品の一つ。

「試しに飲んでみよう」と思わせる分かりやすい個性で差別化

内田嶺衣奈 キャスター:
ただ、それだけ人気があるということは、一方では競争も激しいということでもあるはずです。こちらについては、いかがですか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
いま、人気のレモンサワーは、レモンのみずみずしさを「氷点凍結」したシリーズや、アルコール度数がやや高い、いわゆるストロング系などが支持を集めている。

共通するのは、試しに飲んでみようと思わせる分かりやすい個性があること。今回の「泡立ちレモンサワー」も、サワーなのにビールのような泡が出るのは、これまでにない体験を提供する差別化が図られている。

一方、レモンサワーが強いRTD市場にあって、新しい提案として「ジンソーダ」の商品が登場するなど、各社の競争が激しくなっている。

内田嶺衣奈 キャスター:
メーカーにとっては、新商品の投入など、個性の競い合いが激しくなりそうですが、消費者にとっては、一日頑張った後の一杯をお店で選ぶ楽しみが増えそうです。

(「Live News α」2月27日放送分より)