福井県内でインフルエンザが猛威を振るっている。国が発表した1医療機関あたりの患者数(2月6日~12日)は、福井が45.03人と全国で最も多かった。専門の医師によると、「まだピークはむかえていない」という。なぜ全国最多の患者数となったのか。そしてその対策を詳しく聞いた。
インフルエンザ患者が急増
取材したのは感染症のスペシャリスト、福井県済生会病院・小児科主任部長の岩井和之医師。
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県内のインフルエンザ患者の増え方について「今も急増している」と危機感を募らせる。
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例年は2月中旬までにはピークを迎えるが、2023年はまだ上昇を続けている。
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岩井和之医師:
感染を妨げる免疫が落ちていると感染しやすい。過去2年間、流行しなかったのが1つの原因になっている
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2020年4月から3年間、インフルエンザ患者はほぼ確認されず、2021年はゼロに近い数字だった。この期間は新型コロナウイルスが流行していた時期と重なっている。岩井医師は「2つのウイルスがけんかしている状態だった」と話す。
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岩井和之医師:
1つのウイルスに感染すると、もう1つのウイルスには感染しにくくなる。これを「ウイルス干渉」という。そういうことが起こっているのでは。国や県がインフルエンザとコロナの同時流行を心配していたが、現状を見ると同時流行は起こっていない
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それぞれの患者数を分析すると、新型コロナの患者数が当初増加していたが、1月末にインフルエンザ患者が逆転した。2月6日からの1週間ではインフルエンザ患者は新型コロナ患者の6倍を超えている。
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井上愛梨アナウンサー:
特に多いのが子供の感染です。感染者の約9割が14歳以下の子供といわれ、学年や学級の閉鎖と休校が相次いでいます
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岩井和之医師:
インフルエンザの感染拡大は子供の集団から始まると言われている。小学校、中学校、こども園から集団感染がおこり、家庭、親、社会へと広がっていく
なぜ福井の感染者が多いのか
国の発表では、1医療機関あたりの感染者数は福井が全国ワーストで45.03人。
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全国平均は12.91人だが、地域により大きな差が生じている。なぜ福井では全国最多の感染が起きているのか?
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岩井和之医師:
これはすごく難しい。一般的には暖房を使っているとか、人の動きが限定的であるとか、家族構成が反映されている。福井は暖房器具を使っているし、核家族化ではなく大家族が多い。それで感染が広がりやすいのではないか
感染症対策の徹底を
インフルエンザの効果的な予防法といえば、マスク着用と手指の消毒が一般的だ。ただ新型コロナの流行もあり、それは日常となった。それでもインフルエンザが流行する理由を聞くと、「人流の増加」の可能性を指摘する。
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岩井和之医師:
飲食店で以前だとマスク会食と言っていたが今はどうでしょう。もう世の中は動いているので、感染症はまた増えてくる可能性がある。それが今のインフルエンザの大流行なのかなと思う
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岩井医師はインフルエンザの流行について「3月中旬ごろまで警戒する必要がある」と注意を促す。ピークはまだ見えていないだけに「まだ怖い状況が続いている」と話している。特に重症化リスクがある乳幼児は注意が必要だという。
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岩井和之医師:
感染者が増えれば母集団が増えるので、一定の割合で重症化する感染者が出てくる。現状ではそれをすごく恐れている。重症化しやすい世代にはインフルエンザワクチンの接種をおすすめしている
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予防法は新型コロナと同様、手指の消毒、マスク着用、換気、密を避けることが大切だという。今一度、感染症対策の徹底が求められる。
(福井テレビ)