子供たちに無料または安い値段で栄養のある食事を提供する子供食堂。しかし、昨今の物価高などもあり、運営が難しくなっていたり子ども食堂を開きたくてもノウハウがわからず開設できなかったりと様々な課題があるようだ。そんな子ども食堂の現状について取材した。

立ち上げたくても…ノウハウ不足

石川県野々市市の押野地区にある丸木町会。

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子どもたちや親子の交流を増やそうと2023年3月26日、押野地区として初めてとなる子ども食堂を開設することになった。

丸木町会 森川忠夫さん:
初期投資の中でいわゆる食材の方は、フードバンクあたりから無料で入ってくるのは知ってましたが、機材、鍋とか場所も含めてそういうところに少し不安はありました。

町会で中心となって子ども食堂の立ち上げに関わっている森川忠夫さん。

子ども食堂を作ろうと話し始めたのが1年前。しかし費用や施設の問題で一度断念した。そんな中、子ども食堂を立ち上げた経験がある山下さんと森川さんが偶然に知り合った事で子ども食堂の開設にこぎ着けたそうだ。

森川さん:
子ども食堂立ち上げにはノウハウがないといけないので、どうしても山下さんは私には必要だった方なんです。

アドバイザー 山下浩美さん:
興味を持っている人、やってみたいなと思う人ってたくさんいるらしいんです。でもどうやって
やっていったらいいのか分からない、迷ってらっしゃる方ってたくさんいるみたいなんです。

誰もが山下さんのような経験者と知り合えるわけではない。子ども食堂を開きたくても開けないという人が多いのだ。さらに問題となっているのが、地域格差だ。

県によると今、石川県にある子ども食堂はおよそ70カ所。しかし、珠洲市や、志賀町など5つの市と町に子ども食堂は無い。そこで…

馳浩知事:
困難な環境にある子供たちを総合的にワンストップで支援できるようにという意味も込めて、やっぱ県が音頭を取って支援をしていくと。いち早く全県に展開する必要があると。

石川県は初めて新年度の予算案に、子ども食堂関連として300万円を盛り込んだ。

新たに子ども食堂を立ち上げる団体などに開設費用として20万円を上限に補助するほか、経験者をアドバイザーとして派遣する。

山下さん:
この助成とかアドバイザーとか一歩踏み出そうかなってきっかけになる。県の予算はすごく素晴らしいと思います。もっと早くてもよかったかな。

物価高騰で年間100万にも…初期費用の20万だけでは

ただ、これで問題が解決した訳ではないと指摘する声もある。

かなざわっ子nikoniko倶楽部 喜成彩加事務長:
こんにちは、お名前は?

2016年に県内で初めて子ども食堂を開設した「かなざわっ子nikoniko倶楽部」。

喜成事務長:
備品とかなんでも使っていいよっていう名目で20万円、満額で下りて頂けるのはありがたいなとは思いますね。でも、それが継続してじゃなくて、初期費用だけだよというところがいいところなのかどうなのか。

最近の物価高や規模が大きくなったことで、この子供食堂では水道、光熱費などが開設時よりも倍以上になり年間100万円近くかかっているそうだ。

喜成事務長:
これがおコメ用の冷蔵庫で、こういう風にきたおコメを備蓄させて頂いています。企業さんからの大口の寄付がないと買うことができない。これ1機だけで20万近くするので。初期投費これで
消えちゃうってことになっちゃうので。

実際子ども食堂を開設したものの、継続的な寄付が受けられなかったり、ボランティアが確保できなかったりと、一度子ども食堂を開いたものの数回でストップしたところもあるそうだ。

喜成事務長:
維持していかないと!バンッて立ち上がったはいいけど、そこの継続が無いと利用者さんにも失礼だし、安心感にもつながらないと思うので、そこは条件をクリアしたら継続的にいただけるよとかの支援のほうがいいかなと思うんですけれど。

子供の貧困対策から始まった子ども食堂も今では食育の一つとして全国に広まっている。子供たちがみんなと楽しく栄養のあるご飯を食べられる場所として、県や自治体にはこれまで以上に積極的な支援が求められている。

(石川テレビ)

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