「ナーべーラー・ヘチマ」は、ゴーヤーと同じく沖縄料理に欠かせない島野菜だ。このほど、新たな品種「美らヘチマ」が誕生し、ヘチマの消費拡大に期待が高まっている。プロの料理人も絶賛の新品種を取材した。

県農業研究センターで誕生 ヘチマの新品種

沖縄テレビ 植草アナウンサー:
糸満市にある県農業研究センターです。こちらでヘチマの新品種の開発に成功しました。早速行ってみます!

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県農業研究センターの主任研究員・長浜隆市さんだ。収穫時を迎えた新品種のヘチマを見せてもらった。

県農業研究センター主任研究員 長浜隆市さん:
こちらが新しく開発された新品種のヘチマです

Q.名前は?

県農業研究センター主任研究員 長浜隆市さん:
”美らヘチマ”です

均一な太さできれいな円筒形のヘチマ。この美しい形が美らヘチマの特徴なのだろうか。

県農業研究センター主任研究員 長浜隆市さん:
1番大きな特徴は果肉が黒くならない

黒くならない!?

変色しない秘密とは

従来のヘチマは切ったり、加熱調理すると黒く変色すること多いが、この美らヘチマは熱を加えても果肉の色は白いままだ。

県農業研究センター主任研究員 長浜隆市さん:
黒くなる原因は酵素の働きによって黒くなるんですけど、りんごを切っておいておくと酸化して黒くなるのと同じ原理でその酵素を作らない品種

変色の原因となる酵素を含まない美らヘチマ。
ヘチマは路地栽培が多く形にバラつきがあったり、夏が収穫シーズンで年間を通じた出荷が課題だったため、もともとはビニールハウスで安定した生産ができる品種を開発しようと2013年に試験研究をスタート。
その際、加熱時の変色についても改良を加え、2022年ついに「美らヘチマ」が誕生した。

県農業研究センター主任研究員 長浜隆市さん:
ヘチマが苦手なこどもや本土の方とか、ヘチマをあまり食べた事がない方でも独特の土臭さも軽減されて見た目も黒くなくて、きれいなので食べるキッカケになりやすいと思います

料理人の評価は

約10年の開発期間を経て誕生した美らヘチマ。島野菜に精通している料理人はどう評価するのだろうか。

70種類以上の豊富なメニューが人気の沖縄家庭料理の店「まんじゅまい」の店主・冨永實憲さんだ。

まんじゅまい店主 冨永實憲さん:
僕らはみそ炒めを中心に出しています。料理の出来上がりが黒っぽいからお客さんは何かおかしいなと。そのヘチマをすぐに捨てた事もある

これまで加熱した際の変色に悩まされてきたという冨永さん。

まんじゅまい店主 冨永實憲さん:
一級品だね。試しにやってみましょうね。

そこで、人気メニューのヘチマのみそ炒めを特別に美らヘチマを使って調理してもらう。

まずは皮をむいて輪切りに──

まんじゅまい店主 冨永實憲さん:
料理するときには、バラの花じゃないけどあまり匂いはしない

早速匂いに変化を感じた富永さん。次は鍋を温め加熱調理開始。強火で炒め始めて約1分。

まんじゅまい店主 冨永實憲さん:
まったく一緒だね。内容は全く一緒だけどグリーンが消えないというのが凄いね。色もおいしそうじゃないですか。

島豆腐を加え、最後に味噌で味つけしたら美らヘチマで作ったヘチマのみそ炒めの完成!

沖縄テレビ 植草アナウンサー:
青臭さが全く無くてほんのり甘みもあって、お味噌の味と合っています

まんじゅまい店主 冨永實憲さん:
ノーベル賞よ。沖縄のノーベル賞よ

ゴーヤーに続け ネクストブレイク島野菜

プロの料理人も大絶賛の美らヘチマ。

見た目や味もさることながら農業用ハウスで冬から春の時期にも生産できるため、年間を通じた安定供給につながることが期待されている。

県農業研究センター主任研究員 長浜隆市さん:
最終的には県外に出荷できるような野菜として、生産量を増やして認知度を上げたい

さらに、今後は粉末にしてポタージュにしたり、いつでも食べられる冷凍食品の開発など加工技術の研究も進めながら、美らヘチマが秘める新たな可能性を追求する。

県農業研究センター主任研究員 長浜隆市さん:
ネクストブレイク島野菜。ゴーヤーに次ぐ全国区になるような沖縄発の島野菜。そこが最終的な狙いです

(沖縄テレビ)

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