交通量の多い東京・亀戸の蔵前橋通りで相次ぐ、危険な行為。

取材班:
車が来ているのに、堂々と道路を横断していきます。あっ、こちらの女性もですね。

“乱横断”と呼ばれる、横断歩道がない車道を横切る危険な横断だ。
車の間を通り抜け…3時間に143人が横断
道路脇には横断禁止の標識があるのだが、次々と歩行者が横断していく。

女性が車の流れを伺いながら車道に入ると、バイクが女性を避けて走行。

取材班:
あちらの男性は、車と車の間をすり抜けて道路を横断しています。

停車中の車の間を通り抜けて渡った男性。さらにこちらの女性は、まだ車が動いているのに渡り始めると…。

取材班:
あっ、危ない。車と接触しそうになっています。
隙間を抜けた瞬間、左から車が。ドライバーは慌てて急ブレーキを踏む。

事故寸前の危険な横断。横断禁止の標識が設置されている場所で道路を横断すると、2万円以下の罰金が科されることもあるが(道路交通法第13条)、午前7時~午前10時の通勤・通学時間帯に3時間観察したところ、道路を横断した人は143人もいた。

近くには横断歩道があるにもかかわらず、なぜルールを無視して危険な横断をするのか?直接、話を聞くと…。
取材班:
なぜ渡ったんですか?
横断者A:
近道。
取材班:
どうして渡っちゃうんですか?
横断者B:
(他の道が)遠くて、ここが一番早いんで。

横断者C:
近道だからですかね。
取材班:
どこまでの近道なんですか?
横断者C:
駅ですかね。このまま裏道通って行くと、3~4分くらい近い。

本来、駅に向かうには約80m先の信号を渡らなければならないが、道路を横断することによって3分ほどの近道になるというのだ。
しかし、その近道が大きな事故を引き起こしかねない。事故にあってから後悔しても遅い。
“歩道が隠れる道路”子供連れも堂々と
“乱横断”は東京・阿佐ヶ谷にある中杉通りでも。この場所にも、たくさんの横断禁止の標識があるが…。

取材班:
あちらの男性、車と車の間をすり抜けてきましたね。

取材班:
続いて女性も、あぁ危ない!車の陰から別の車が出てきました。

横断禁止の道路を次々と横断していく。

取材班:
お子さん連れの男性が出てきました。道路を渡っていきました。
小さな子供2人の手を引きながら横断する人も…。そして、この道路には事故が起きる危険性が高い、ある特徴があった。

それが、道路の両端にある駐車区間。多くの車が駐車しているため、ドライバーの目線では車に隠れて歩道がほとんど見えない。

取材班:
非常に見通しが悪いですね。

と、その時。突然、駐停車中の車の陰から男性が現れた。そして車が通り過ぎた後、道路を横断していった。
この道をよく利用するというタクシーの運転手によると、他にも危険な点があるという。
タクシー運転手:
結構、年配の人多いですよね。お年寄りが。

タクシー運転手:
お年寄りとかは全然右左見ないで、平気で渡っちゃう人がいるんですよ。だから危ないですよね。
高齢者による“乱横断”だ。
ゆっくり横断、道路の真ん中で立ち止まる
信号待ちのため車を止めると…。

取材班:
高齢の女性が目の前を横断していきました。
信号が青になり、走り出しそうとした車の前を高齢者が堂々と横切ったり…。

取材班:
おばあちゃん、車来てるのに…。
杖をつきながら、ゆっくりと道路を横断する高齢者も。

別の女性は、横断中に道路の真ん中で立ち止まってしまった。しかも、左側ばかり気にして右側はほとんど見ていない。女性はその後、軽く会釈して走り去っていった。
相次ぐ高齢者の乱横断。危険を感じないのだろうか。話を聞いてみると…。

取材班:
危ない思いは?
横断者(81):
ないないない。だって自分の命大事だから。絶対、危険な渡り方はしない。向こうの信号まで行って戻ってきて、またこっち来るでしょ。歩いていって帰ってきての方が、ロスみたいな気がして。荷物持ってたりすると。

3人一緒に横断してきたこちらの人たちは…。
取材班:
危ないなとは思わなかったですか?

横断者D:
思いました。思いましたけど、今何も車通りがなかったので、来ちゃったんですけど。すみません。

警察庁が発表した、2021年に横断歩道以外での横断や、走行車両の前後への飛び出しが原因で死亡した人は、65歳以上の高齢者が約90%と、ほとんどを占めている。
こうした高齢者による“乱横断”について、専門家に聞いた。

交通事故鑑定ラプター 中島博史所長:
視覚的に判断することの遅れがあったり、とっさの時の反応が遅れてしまったり、複数の要因が重なってしまうために、高齢者の事故は多くなってしまう。
では、高齢者が事故に巻き込まれないためには、どうしたらよいのか?

交通事故鑑定ラプター 中島博史所長:
慣れているから大丈夫という思い込みをできるだけ排除すること、余裕を持って移動することで、安全なルートをきちんと守ってほしいと思います。
交通ルールを守ることは、自分の身を守るためでもある。
(「イット!」2月14日放送)