アメリカなどで気球の撃墜が相次ぐなか、日本で2022年1月に確認された気球も中国の偵察気球である可能性が高いことがFNNの取材で分かった。

4年前には鹿児島で“丸い物体”確認

白く光る丸い物体。

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2019年11月20日に鹿児島・薩摩川内市で撮影された写真だ。

ワイヤーでパネルのようなものが吊り下げられている
ワイヤーでパネルのようなものが吊り下げられている

空に浮かぶ球体の下には、ワイヤーでパネルのようなものが吊り下げられているのが確認できる。

この丸い物体は、先日アメリカ上空で目撃された中国の気球によく似ている。

モンタナ州上空で見つかった気球
モンタナ州上空で見つかった気球

2月1日、モンタナ州の上空で見つかった気球について、アメリカは「中国の偵察気球」と判断し、2月4日に戦闘機で撃墜した。

その中国の偵察気球とよく似た物体が4年前、鹿児島県の上空でも目撃されていたのだ。

当時、薩摩川内市の上空を西から東へ通過しているのが目撃され、連絡を受けた「せんだい宇宙館」が写真を撮影した。

せんだい宇宙館・今村聡館長:
11月となりましたら、上空の偏西風、強い西風が九州付近で吹くことが多いので、(飛行物体が)東の方に流れていくことは推測できようかと思います。(パネルのような物があり)気象庁が揚げる観測用の気球ではないなということは、当時わかりました。

2022年に確認された“謎の球体”…「中国の偵察気球」の可能性

さらに、気球をめぐる新たな事実がFNNの取材で明らかになった。
九州の上空では、2022年1月にも謎の球体が確認され、政府が中国の偵察気球の可能性が高いと分析していることが分かったのだ。

関係者によると、この気球は東シナ海の方向から九州の西の上空に飛来、屋久島から種子島間の日本領空を太平洋に向けて通過した。自衛隊の航空機が追跡して写真を撮影したところ、アメリカで撃墜された中国の偵察気球と同じバルーン状の形をしていたという。

政府は、この気球も中国の偵察気球だった可能性が高いとみて分析を進めている。

14日午後4時の会見で、松野官房長官は「哨戒機が所属不明の気球を確認しました。この気球の詳細については引き続き分析を進めているところであります。これ以上の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきます」と述べた。

一方、中国外務省は14日午後の会見で「私たちは関係する報道について把握しているが、強調したいのは、日本側が客観的で公平な立場をとり、アメリカに追随して騒ぎ立てないようにしてほしいことだ」と述べ、日本政府の分析については肯定も否定もしなかった。

過去に目撃された気球と中国の偵察気球が似ていることが、なぜ今、相次いで明らかになっているのか。
関係者は気球について、「米軍の戦闘機が撃ち落としてから、フェーズが変わった」と明かしている。

九州の周辺で確認され、自衛隊が撮影したのは1年前だが、米軍が撃墜回収しその実態が明らかになってきたことで、分析が一気に進んだものとみられる。

(「イット!」2月14日放送より)