首都圏などで相次いでいた一連の強盗事件をめぐって、フィリピンの入管施設に収容されていた指示役とみられる男2人が、9日午前1時20分ごろ、現地の空港から日本に向けて出発した。

強制送還された2人は、フィリピン当局から、警視庁の捜査員に身柄を引き渡された。航空機の中で、2019年に起きた特殊詐欺事件に関与した疑いで逮捕される見通しだ。

窃盗の疑いで逮捕されるのは、渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)。2人は、きのう、日本に強制送還され逮捕された、今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)とともに、フィリピンを拠点とする特殊詐欺グループの幹部だったとされる。

マニラの収容所から移送直前の渡辺容疑者(左)と小島容疑者(右)
マニラの収容所から移送直前の渡辺容疑者(左)と小島容疑者(右)
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マニラの収容所から移送直前の渡辺容疑者(左)と小島容疑者(右)
マニラの収容所から移送直前の渡辺容疑者(左)と小島容疑者(右)

渡辺容疑者がリーダーだったとみられている。また、一連の強盗事件にも指示役として関与していた可能性があるという。

警視庁によると、渡辺容疑者と小島容疑者は、2019年11月、金融庁職員などを装う特殊詐欺の手口で、足立区の当時76歳の男性から、キャッシュカード2枚を盗んだ疑いがもたれている。当時、フィリピンの拠点から、日本国内の実行犯らに指示をしたとされている。

日本に向かう航空機に乗り込む渡辺容疑者(9日未明 マニラ)
日本に向かう航空機に乗り込む渡辺容疑者(9日未明 マニラ)
日本に向かう航空機に乗り込む小島容疑者(9日未明 マニラ)
日本に向かう航空機に乗り込む小島容疑者(9日未明 マニラ)

2人は、藤田容疑者、今村容疑者とともに、フィリピンのアジトで、「かけ子」らに指示し、日本国内の高齢者らに詐欺の電話をかけていたという。このアジトは、2019年、フィリピン当局に摘発され、「かけ子」ら36人が日本に強制送還され、逮捕された。

渡辺容疑者ら4人は、摘発から逃れたものの、その後、フィリピンの入管施設に収容されていた。その施設内で、「ルフィ」などと称して、一連の強盗事件にも、指示役として関与した可能性があるという。

マニラの収容所を出る直前の今村容疑者(右)と藤田容疑者(左)
マニラの収容所を出る直前の今村容疑者(右)と藤田容疑者(左)

4人のうち今村容疑者と藤田容疑者は、きのう、フィリピンから強制送還され、移送中の機内で逮捕された。すでに、都内の警察署で取り調べが始まっている。渡辺容疑者と小島容疑者についても、きのう、現地の刑事裁判が終了し、強制送還されることになった。

4人が関与した特殊詐欺事件は、被害総額が少なくとも60億円にのぼるとみられている。警視庁は、日本に移送後、特殊詐欺事件の取り調べを本格化させるとともに、一連の強盗事件への関与も追及する方針だ。(記事更新:午前1時20分)

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社会部
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