高知市の高知高校で2月7日、がんについて学ぶ特別授業が行われ、2年生約220人が参加した。23歳でがんになった女性が、子宮摘出などのつらい闘病経験を経て見つけた「生きる意味」を伝えた。

「みんなの記憶から無くなっていくんじゃないか」

高知高校で行われた、がんについて学ぶ特別授業。

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東京大学医学部附属病院でがんの放射線治療を行っている中川恵一特任教授が「がんは日本人の2人に1人がなる」と説明。しかし、がんの半分以上が治る時代になったとして、早期発見や検診の大切さを呼びかけた。

その後がんの体験を語ったのが、大阪出身の阿南里恵さん(41)だ。

阿南里恵さん:
初めて23歳で、自分が死ぬかもしれないんだと考えた。まるで自分が生まれてこなかったかのように、みんなの記憶から無くなっていくんじゃないかと思うとすごく怖かった

夢だった自動車メーカーへ就職し、仕事や恋愛に人生を謳歌(おうか)していた23歳の時、子宮頸(けい)がんになった阿南さん。

子宮摘出を余儀なくされ、死への恐怖と子どもが産めなくなる絶望感に襲われた時、救ってくれたのが母の言葉だった。

阿南里恵さん:
(母の言葉は)「子どもが産めない人でも親の愛情が受けられない子どものため、何かしてあげられることができると、お母さんは思います。お母さんの命ある限り、応援したいと思います」

活動の中見つけた“生きる意味”

手術後は放射線治療の後遺症で足がむくみ、高熱が出るなど就職や結婚も難しかったという阿南さん。しかしがんが完治し、講演活動を行う中で、自分の生きる意味を見つけたという。

阿南里恵さん:
命の授業や講演をやらせてもらうとたくさんの人が感想で「ありがとう」って言葉を書いてくれる。その「ありがとう」って言葉にものすごく救われた。健康な人たちにありがとうって言ってもらえることがある。生きてていいのかなって思えた

がんについて学び、検診を受けて

語学留学したイタリアで現在の夫と出会い、3年前に結婚した阿南さん。

家族や友人など多くの人に支えられてがんを乗り越えた経験から「つらい時はSOSを出してほしい」、そして「助けられる人になってほしい」と生徒たちに呼びかけた。

生徒:
私がもし阿南さんの立場やったらいっぱい泣いたり、「何のために生きているんだろう」と思うと思うけど、親や友達に頼ったり、困ったときはSOSを出してもいいんだと思いました

阿南さんの「つらい経験をした人はいつか人の力になれる」というメッセージに生徒たちは真剣に聞き入っていた。
授業を主催した高知県総合保健協会は、子どもの頃からがんについて学び、検診を受けて命を守ってほしいと呼びかけている。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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