受験者の減少傾向が続く、岩手県警察の警察官。県警では人材確保のため、2021年度から受験資格の上限年齢を引き上げた。このチャンスを生かし、36歳で念願の警察官人生を歩み始めた男性の思いを取材した。

最年長36歳で警察官に 夢をつかんだ男性の10カ月間

1月31日、県警察学校の卒業式が行われ、初任科生長期課程の32人が一人前の警察官としての第一歩を踏み出した。

伊藤寿康巡査:
きょうこそが、警察官としてのスタートラインに立てた1日目であると思う

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伊藤寿康巡査は、最年長の36歳。一度警察官を志したが、採用試験の壁に阻まれ断念し、介護や警備の仕事をしていた。

諦めかけた警察官への道だが、2021年度から、長期過程で受験資格の年齢の上限が28歳から35歳未満に引き上げられたことを知り再挑戦。熱い思いで試験を突破し、2022年4月、警察学校への入学を果たした。

伊藤寿康巡査:
1歳になる子どもがいるんですけども、自分の子どもや地域の子どもたちが事故に遭うことのない、安心安全な街づくりがしたいと思い、警察を志しました

警察学校の入校期間には、短期課程(6カ月)と長期課程(10カ月)がある。
長期課程の伊藤さんは10カ月間家族と離れ、寮で共同生活をしながら知識や技能を習得する。

警察官は体力も必要な仕事。周りは20歳前後の学生の中、初めはついていくのがやっとだった。

伊藤寿康巡査:
やっぱり、若い者にはどうしても追いつけない部分があって、訓練後(家族の)写真を見て、絶対頑張らなきゃいけないと奮い立たせた

かっこいいパパであるために…「子どもがいるから頑張れる」

心のよりどころは、息子の悠浬くん(2)。伊藤さんが家族に会えるのは週末だけだ。

待ちに待った週末、悠浬くんとの再会。泣いていた悠浬くんだが、2週間ぶりのパパを前に涙も止まる。

伊藤寿康巡査:
本当にこの子は、大事な時にこうなんだから、いつも

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子どもと会えたことで、伊藤さんは気持ちを新たにしていた。

伊藤寿康巡査:
これからも厳しいこと、大変なことたくさんあると思うが、子どものために、子どもがいるから頑張れるという気持ちでやっていける

悠浬くんにとってかっこいいパパであるために、家から寮に戻っても、1人机に向かう。

迎えた卒業式…「子どもにとって憧れのスーパーヒーローに」

迎えた卒業の日。1人ひとり名前が呼ばれ、仲谷学校長から卒業証書が授与された。

楢山将司教官:
コミュニケーション能力も高いし、物腰柔らか。市民に親しまれる警察官になってくれるんじゃないか。頑張ってください

伊藤寿康巡査:
期待に応えられるように頑張ります

式には、伊藤巡査の両親も出席していた。

伊藤巡査の父 實さん:
よく頑張った、ブラボー

伊藤巡査の母 理恵子さん:
かっこいいですね、自分の息子ながら。年を取ってましたけど。立派な警察官になってほしい

もちろん、息子・悠浬くんの姿もあった。

悠浬くん:
おとうさん、おかえり

伊藤寿康巡査:
ただいま

伊藤寿康巡査:
警察官と言えば、子どもにとっては憧れのスーパーヒーローであると思います。そのヒーローの名に恥じることのない警察官になりたいと思う

父として、警察官として、伊藤巡査の奮闘の日々は続く。

(岩手めんこいテレビ)

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