かつては醤油・味噌・酒造りに欠かせなかった木桶。手入れをすれば100年以上は使えると言われている木桶の職人が石川にいる。

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そんな木桶仕込みの美味しさを広め、木桶文化を後世に残していこうと奮闘する杉本君平さんを取材した。

全国的にも珍しい「木桶職人」

竹内章アナウンサー:
杉本さんは木桶職人ということですが、木桶を作ってどれぐらい?
杉本君平さん:
今で3年ちょっとですね。地元の酒蔵さんに、木の桶で日本酒を仕込みたいと言われたのがきっかけです

竹内アナ:
木桶職人の前は何をされていたんですか?
杉本さん:
宮大工をしていました

しょうゆの三大名産地とも呼ばれる小豆島。その小豆島のしょうゆ蔵が「木桶が無くなったら困る」と言う理由で、木桶の職人を増やそうという取り組みをしている。そこで杉本さんは修行したという。

竹内アナ:
木桶職人は何人ぐらいいるんですか?
杉本さん:
定かではないですが、20人もいないと思います。
竹内アナ:
じゃあ、石川県内では杉本さんだけですか?
杉本さん:
そうだと思います

竹内アナ:
木桶を作るにはどういう点が難しいんですか?

杉本さん:
まず丸いこと。丸いかんなが無いんですよ。歯の丸いかんなが必要なんです。普通の大工さんはそういう道具を持っていない。
竹内アナ:
板自体は元々真っ直ぐですもんね。丸く削らなきゃいけないんですね。だからこれだけピタッて来るんですね

水が漏れない“先人の知恵”

杉本さんの作業場を見せてもらった。

竹内アナ:
工具から木からいっぱいありますが、この辺に置いてあるのは…
杉本さん:
作りかけの木桶です

竹内アナ:
ここを湾曲させなきゃいけないから丸みを帯びたかんなが必要なんですね

杉本さん:
これが、そのかんなです。
竹内アナ:
本当に丸いですね

杉本さん:
一般的にはあまり使わないと思います。
竹内アナ:
宮大工さんは使うんですか?
杉本さん:
はい

竹内アナ:
この箍(たが)は竹を編んだものをギュッとはめているのか、編みながらはめるのか。
杉本さん:
編んでからはめます

竹内アナ:
すごいと思うのは、杉の木と竹だけで桶を作っちゃってと言う所ですよね。普通だったら桶のどこかに釘があったり、木と木の間に接着剤でくっつけたら、もうちょっと楽に出来るんじゃないかとか思ったりもするんですが。
杉本さん:
接着剤を使ってもあまり意味がないです。つけなくても水が漏れないので…

杉本さん:
円型って強いですよね。ちゃんと板と板がくっついていれば内側にぐちゃっといくことはない。
竹内アナ:
理にかなっているわけですよね。先人の知恵って大変なものですね。

竹内アナ:
この木桶は何用ですか?
杉本さん:
味噌用です。

杉本さん:
最近、自宅で味噌を仕込む人が増えてきているんです。なのでこういう木桶の需要があるみたいなんですね。

竹内アナ:
それでも北陸では杉本さんしかいないぐらいの人数ですから、木桶文化っていうのか先行きはちょっと心配ですよね。
杉本さん:
僕は自信を持って作れるようになることが一番の目的。そしてゆくゆくはそれを誰かに教えたいです。

全国的に貴重な木桶職人。杉本さんの今後の活躍に期待が高まる。

(石川テレビ)

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