「高齢者が多い地区で除雪がままならない。どんな手立てがあるのか取材してほしい」と言う調査依頼が金沢市の視聴者からよせられた。除雪車が入れる道路とそうでない道路、一体どうなっているのか、取材した。

除雪車が入らないような生活道路はどうすれば?

調査の依頼をくれたのは金沢市笠舞の青海康男さん。

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秋末械人アナウンサー:
どちらの道路が問題なんですか?
笠舞西部町会 青海会長:
ここから向こう側です。

この道路は、バス通りに挟まれた場所。金沢市が管理する道路ではないが、2本の道路を繋ぐ道として多くの住民が利用している。

笠舞西部町会 青海康男会長:
この辺の雪は脇に積んでいくしかない。積んだら去年12月の雪で割れてしまった。

ここには除雪車などは入らず、住民が雪かきをしても、雪を捨てるためには、約60メートル先の公園まで行かなければならないのだ。

雪かきについて住民にも話を聞いてみた。

秋末アナ:
雪の時は困る?
住民:
大変。ここを全部雪かきする。

秋末アナ:
2022年12月は大変だった?
住民:
凄かった。お父さんが歩けないので、私が玄関先だけでもと雪をどかして。年寄りには雪は欲しくない。

青海会長の笠舞西部町会は94世帯237人が住んでいる。その半数以上は60代以上。雪かきも一苦労だ。

青海会長:
自分たちの所は、自分たちでやってくださいと。でも、みんな年寄りになっているからだんだんやれなくなっている。

富山市や福井市と比べて除雪が少ない金沢市…なぜ?

こうした問題は、この地域だけに限らない。

秋末アナ:
金沢市では実際にどんな対応を取っているのでしょうか?

訪ねたのは金沢市の道路管理課。

秋末アナ:
除雪車出動の基準はどうなっているんですか?

金沢市道路管理課 吉田真之介さん:
金沢市が除雪路線にしているのは、少なくとも市道に認定されている道路のみ。私道については市で除雪することはないんです。

金沢市が除雪車を使って除雪したり融雪装置を設置したりするのは、市が管理する道路のみ。

その市道であっても、除雪車が入ってしっかり作業を行う路線は全体の4割にとどまるという。

一方、お隣の富山市や福井市ではその割合は8割ほどと金沢市とは雲泥の差だ。

どうして金沢市は除雪する道路が少ないのか…。

金沢市によると、除雪を委託する業者の減少が理由だという。除雪機械を動かす担い手不足などで、2022年度は902台と40年ほど前に比べ半減している。

補助制度のメリット・デメリット

では、今回依頼をくれた青海さんの地域のように、そもそも除雪対象外となっている道路はどうすればよいのだろうか?

秋末アナ:
金沢市として対応できることはあるんですか?
吉田さん:
融雪装置に関して市が直接設置するものはないが補助の制度があります。

金沢市は3軒以上の家に接していて車が行き来する道路など、条件を満たせば除雪機や融雪装置を購入する際、最大4分の3を助成している。

さらにこんな町会も…

秋末アナ:
こちらホースから水が出ていますね。右側もかなり長いですし、逆側もかなり長くホース型の融雪が引いてありますね。

こちらの町会では、融雪ポンプを市から無料で借り、近くの用水から水をくみ上げて自前で融雪装置を作った。

融雪装置を設置した人:
高齢世帯が多いので除雪ができない。火事とか救急の場合に入ってこられないこともあるので。

市から無料でポンプを借りられるのは3年間。いまはお試し期間だと言う。

秋末アナ:
お試し期間が終わったあとは?
融雪装置を設置した人:
最悪の場合は、自分たちで買ってやらなきゃいけない。ただ、設置してもメンテナンスが必要。用水を使っているのでポンプやホースにゴミが詰まったり大変。

専門家は、すべてを自治体任せにできないとしつつも柔軟な対応が必要だと指摘する。

金沢大学 藤生慎准教授:
公道と私道を区別することなく、市民の足がどうなるのかを最優先に考えなければいけない。

金沢大学 藤生慎准教授:
地域の実態や降雪状況、高齢化の状況を見据えた上で適切な除雪戦略や計画を構築していかないと今までの除雪計画ではとても対応できない状況になってくる。

改めて金沢市の対応を確認する。町会が除雪機や融雪装置などを購入する際、4分の3を助成する。また3年間はくみ上げポンプを無料で貸し出す取り組みもしている。

一方で、専門家は「自治体は雪が降る前から除雪車などを分散させて予防的な対応が必要」だ
と指摘している。

今後、高齢者がますます増加する中で、限られた予算の中、どのように除雪体制を組むか自治体の知恵の見せ所といえそうだ。

(石川テレビ)

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