新型コロナをきっかけに変化を遂げた仙台市内のある企業を紹介する。数年前まで、離職率が高かったという、この企業。変わった背景には、元ワンマン経営者の意識の変化があった。

働きやすい職場とは

まちで聞きました。あなたにとって、働きやすい職場とは。

40代・エンジニア:
やっぱり給料ですね

記者
給料高ければ多少つらくても…?

40代・エンジニア:
そうですね、多少きつくても

20代・IT:
働きやすさは自由度、時間に縛られない働き方がいいかなと思います

30代・食品メーカー勤務:
イメージしているのは残業がないとか、ハラスメントがない会社

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社員3分の1が離職…

答えはまさに十人十色。仙台市泉区に本社を構える株式会社「パルサー」。自動販売機や券売機の販売、メンテナンスを主力事業としていて、30人ほどが勤めている。

社長を務める阿部章さん(43)。

パルサー 阿部章 社長:
これが今回、受賞させていただいた、ホワイト企業大賞特別賞の表彰状になります

ホワイト企業大賞とは全国の企業トップや大学教授などのメンバーが「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」を“ホワイト企業”として認定するもので、パルサーは創業35年目となる2023年、特別賞を受賞した。

その理由は…「黒から白への躍進」。今では若手社員自らが社員旅行を企画するほどの風通しの良い職場となったが、会社には忘れ去りたい“黒歴史”がある。

パルサー 阿部章 社長:
どうしてもみんなのやっていることや、それぞれの案件だったりを、1個1個毎日進捗確認をしたり、これどうなってるの?と毎日聞いたり

10年ほど前から社員を増やし、業績を順調に伸ばしていったパルサー。しかし、阿部社長の業務の進め方や電話のかけ方にいたる細かい指示は、社員にとって、時に窮屈さを感じるようになっていた。良かれと思ってしたことが“ワンマン”にみえる時も…。当時を知る社員は。

営業部(入社8年目) 佐藤大輔さん:
笑顔が少なかったというのはあったし、個人の集まりというのがしました

業務部(入社8年目) 今野光 部長:
いまと全然真逆で、ずっとシーンとしていてひたすらタイピングの音が響き渡る感じ。声を出すのに抵抗があるかなという空気感ではあった

気付けば3分の1の1社員が会社を去った。

パルサー 阿部章 社長:
メンバーみんなが転ばないように、うまくいくようにサポートしているつもりなんですけど、本人たちはそれが怖くて詰められてるみたいなイメージ

社員の幸せと働きがいを

転機となったのは新型コロナの流行。これまでオフィスで全てを管理していた阿部社長がリモートワークとなったことだった。

パルサー 阿部章 社長:
マネジメントや業務進行を含めて幹部リーダーに任せるようになったんです。任せないといけない状態になったというか…

新型コロナの影響で業績が落ち込む緊急事態に、社員自らが考える時間と機会が生まれました。それがひとつの成果につながる。

入社5年目 塩野優さん:
こちらが仙台グルメ自販機です

2022年、仙台市中心部に設置したグルメ自販機。

入社5年目 塩野優さん
間違いなく言えるのは、今まで社長主導だったのが、社員がボトムアップで自ら動くという雰囲気になれたことで、こういった企画が生まれている

自販機はコロナ禍で生まれた消費者のニーズをつかみ業績は回復。2022年の会社全体の売り上げは、コロナ前と比べ2倍となった。

パルサー 阿部章 社長:
結果、みんなに任せた方がそれぞれやってくれるし、何よりも楽しそうにやってくれるのであれ?みたいな(笑)。私がいないほうがよかったんですねみたいな

入社8年目 佐藤大輔さん:
過去にやめていった人たちにも、今だったらいいよって言いたいような感じを、仕事終わりに話している

入社5年目 戸塚泰久さん:
みんながみんなを支え合う気持ちで、従業員同士ができている

かつて社員たちが話していた…職場はいわゆる“ブラック”だと…。しかし、コロナ禍というピンチをきっかけに、会社は生まれ変わった。

パルサー 阿部章 社長:
それぞれが自分で考えて、自分でこうしてみてうまくいったらこうする。失敗した経験こそが次の成長につながってくるので、そういう機会も奪わずに経験も含めて成長していきつつ、幸せな人生になってほしい

(仙台放送)

仙台放送
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