全国で相次ぐ、スキー場のコース外“バックカントリー”と呼ばれるエリアで起きた雪崩事故。
なぜ外国人が巻き込まれる事故が相次いでいるのでしょうか。

世界のスキーヤーに大人気「日本には最も安定したパウダースノーがある」

「北海道・留寿都」と書かれた海外のスキーツアー情報サイト
「北海道・留寿都」と書かれた海外のスキーツアー情報サイト
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海外のスキーツアー情報サイトを見ると、北海道から長野県まで、日本の多くのスキーツアーが紹介されています。
日本でのスキーが人気を博す理由について、北海道で多くの外国人をガイドしてきたオーストラリア人のジョン・モレルさんは…

バックカントリースキーツアーガイド ジョン・モレル さん:
世界中のスキーヤーは日本に世界で最も安定したパウダースノーがあると知っています。
しかし、ガイドが不足しているので、外国人は自分たちでバックカントリーに行ってしまうんです。

ガイドが不足しているため、やむを得ず、ガイドをつけずに山の中に入っていく外国人も多いといいます。
また、日本人のスキーガイドは、日本と欧米ではスキーをする場所について文化的な違いがあると指摘します。

スキーガイド 中野豊和さん:
海外から来られる方…、スキー場じゃない場所でスキーをする文化がそれぞれの国にある人たちにとっては、(バックカントリーで滑ることは)自然の流れということですね。

日本海と山が作り出す「世界屈指のパウダースノー」

“パウダースノー”が降りやすい地域
“パウダースノー”が降りやすい地域

日本でパウダースノーが降りやすい有名な地域を見てみると、ニセコ(北海道)、安比高原(岩手)、蔵王(山形・宮城)、谷川岳(群馬・新潟)、野沢温泉(長野)、白馬村(長野)、大山(鳥取)など。他にも多数存在します。
しかもその多くの場所が、車や電車で行ける範囲にあるということも人気の理由です。
そして2023年は、平年よりも2倍以上雪が積もっています。

【天達気象予報士が解説】日本に“パウダースノー”が多く降る理由

日本海から立ち上る水蒸気が、シベリアから流れ込んだ寒気によって冷やされ「雲」が発生
日本海から立ち上る水蒸気が、シベリアから流れ込んだ寒気によって冷やされ「雲」が発生

天達武史 気象予報士:
冬場、シベリアから日本海側に向かって寒気が流れ込みます。そして、日本海から立ち上る水蒸気が冷やされ雲が発生。たっぷり水蒸気を吸い込み成長した雲が内陸の山にぶつかり、さらに成長して雪を降らせます。
しかし、ここで降る雪は水分が多い湿った雪です。

水蒸気を多く含んだ雲が、山にぶつかり雪を降らせる
水蒸気を多く含んだ雲が、山にぶつかり雪を降らせる

天達武史 気象予報士:
この雪雲が山を越えると、そこで降る雪はほどよく水分が抜けた状態になっており、さらさらに乾いた雪、つまり「パウダースノー」となるのです。
日本海があることによって、シベリアからの寒気がずっと流れ込むので、長期間にわたって良質な雪が降り続きます。

雲が山を越えると水分が抜けた状態になり“パウダースノー”に
雲が山を越えると水分が抜けた状態になり“パウダースノー”に

では、パウダースノーは雪崩が起きやすいなど、関連性はあるのでしょうか。

天達武史 気象予報士:
パウダースノーは軽くて非常に動きやすい雪なので、1mくらい一気に積もってくると、少しの風や振動などの衝撃で大規模に崩れ落ちるというのが普通にあります。なので、「現地の情報が命」くらいに思って、しっかりと日本も海外の方向けに情報が翻訳できるように、身近な情報がすぐ取れるようにしておくことが大事だと思います。
日本にはインターネットですぐに見られる雪崩専門の予報サイトもあります。こちらも非常に大事ですが、それ以上に自分から現地の情報を手に入れ、どこが危険かというポイントをしっかりと捉えた上で、現地の天気予報を確認していただきたいと思います。

(めざまし8 2月1日放送)