育休中などの「学び直し」をしっかり後押ししていくと発言した岸田首相(27日)
育休中などの「学び直し」をしっかり後押ししていくと発言した岸田首相(27日)
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「育児中など様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押しして参ります」

1月27日、参議院本会議での岸田首相のこの発言に、親たちから、「そんな時間はない」という反発の声が続出しました。
自民党の鈴木貴子衆院議員も30日の衆院予算委で、「私の周りでも育休、産休中にリスキリング、それ本気で言ってるの?という反応が相次いだ」と発言、波紋が広がっています。

衆院予算委で発言する自民党の鈴木貴子衆院議員(30日)
衆院予算委で発言する自民党の鈴木貴子衆院議員(30日)

育休中の1日のスケジュール「自分の時間ない」

実際、産休・育休中の「学び直し」は、多くの人にとって可能なことなのでしょうか?

育休中の母親たちに、1日のスケジュールを書いてもらった
育休中の母親たちに、1日のスケジュールを書いてもらった

育休中の母親に、1日のスケジュールを書いてもらうと、離乳食づくり、寝かしつけなど、8カ月の子供の世話にかかりきりの1日。「自分の時間」はありません。

空白の午前5~10時は「寝たり起きたりの時間」。子どもが夜中に起きるためだという
空白の午前5~10時は「寝たり起きたりの時間」。子どもが夜中に起きるためだという

朝5時から午前10時までの時間は、子供が夜中に起きるので、寝たり起きたりの時間だといいます。

8カ月の子供がいる育休中の31歳女性:
薬剤師の仕事を忘れないように、本とか買ってあるんですけど、結局読めずにそのまま積んであります。そういう時間があったら、子供あやさないといけない。

自由時間が少しとれても、資格取得などは難しいと話す
自由時間が少しとれても、資格取得などは難しいと話す

1歳半の子供がいる別の女性は、深夜帯と午後帯に自由時間は少しあるものの、子供が途中で起きてきたり、泣きついてきたりもするので、資格の取得などは難しいといいます。

話を聞いた多くの親が「育休中は育児に追われる」と回答
話を聞いた多くの親が「育休中は育児に追われる」と回答

話を聞いた多くの親が、「育休中は育児に追われて1日が過ぎてしまう」と回答しました。

“勉強する体力ない” 育休中の親に密着

「勉強したい気持ちはある」という2児の母親の1日に密着
「勉強したい気持ちはある」という2児の母親の1日に密着

「勉強したい気持ちはある」と話すのは、3歳の長男と6か月の次男の母親、ユキさん。現在育休中の彼女の一日に、「めざまし8」が密着しました。

朝から子どもの世話に追われるユキさん
朝から子どもの世話に追われるユキさん

朝から子供たちの世話に追われるユキさん。
午後3時半、ようやく6カ月の次男はお昼寝をしますが、30分後には目覚めてぐずり始めます。おもちゃを渡してあやしますが、なかなか泣きやみません。
授乳をし、少し落ち着いたので夕食準備に取りかかるも、眠いのか再び泣き始めてしまいました。

自分の時間どころか、夕食の準備中も子どもが…。ソファから動けず
自分の時間どころか、夕食の準備中も子どもが…。ソファから動けず

夕食の準備をいったん止めて、寝付くまで抱っこ。ソファから動けません。

午後6時半、お風呂に入れて、また授乳。
午後7時半、寝かしつけるために2階へ。

赤ちゃんを寝かしつけたら、今度は長男と夫が帰宅
赤ちゃんを寝かしつけたら、今度は長男と夫が帰宅

その30分後の午後8時には、3歳の長男と、お迎えに行った夫が帰宅。この後は、長男をお風呂に入れて寝かしつけます。
その後、夫婦の夕食と家事。午後10時にようやく自由時間となりました。

1日の終わりで、やっと自由時間が。
1日の終わりで、やっと自由時間が。

ユキさん:
30分とか、その日によってもとれる分数も変わってくるし、ここだけの時間でさらに勉強するかっていうと、そうはちょっと難しいなというのがありますね。(勉強する体力も)ないですね。

育休中に資格取得するも“後悔”

一方2年前、育休中に動画を見ながら勉強し、資格を取得したという、ますまゆさん。

育休中に資格を取得した ますまゆさん:
会社でみんな頑張っている中、いったん休んで時間が空いてしまうので、どうしても焦りみたいなものはみんなあると思うんですけど。

3カ月かけてWEBマーケティングの資格を取得しましたが、実は、後悔していることもあるといいます。

育休中に資格を取得した ますまゆさん:
結局振り返ったときに、1人目のときに感じてた“幸せ”みたいな部分を、ちょっと置いていってしまったなというのがすごくあって。
1人目の時は、めちゃめちゃ真面目に赤ちゃん見てたんですけど、2人目の時は、「本当に100%心を砕いてあげられていたか?」っていうと、結構焦りでいろいろやっていた部分に(心が)いってしまっていたんじゃないかなっていう、後悔があったりします。

資格は取得できたものの、逆に“育児への後悔”が生まれてしまったというのです。

産婦人科医が指摘 「体としては過酷な状態」

産婦人科医で自身も子育て中の宋美玄氏も、育休・産休中の“リスキリング”には疑問を呈します。

産婦人科医 宋美玄 氏:
出産直後というのは、体がフィジカルに傷ついている状態、メンタルにも傷ついている状態。もうひとつ、ホルモンバランスが激変した後で、体としては過酷な状態なんですね。
ただでさえ育児に専念しながら体の回復を待たないといけない時期に、その間に「リスキリング」と言われると、ただでさえ、たくさんのタスクをこなすのに精一杯なのに、余計に焦ってしまうということになると思います。

(めざまし8 1月31日放送)