今では、小学生でも、スマートフォンを持つのが当たり前になりつつある。

そうなると、トラブルが心配だが、MMD研究所の調査では、「2022年以降に初めてスマートフォンを持った子がいる親」の2割が「トラブルに巻き込まれたことがある」と回答したことが分かった。

初めてスマホを持たせるのは「小6」が最多

MMD研究所は、「初めてスマートフォンを持つ子どもと親への意識調査」を、昨年12月26日~12月27日に実施し、その結果を1月23日に公表した。

調査の対象は、「2022年以降に子どもに初めてスマートフォンを持たせた20歳~59歳の男女1769人」と「2022年以降に初めてスマートフォンを持った子がいる親1000人」だ。

「2022年以降に子どもに初めてスマートフォンを持たせた20歳~59歳の男女」を対象に、子どもに初めてスマートフォンを持たせた学年を聞いたところ、最も多かった回答は「小学6年生」で14.9%、次いで「中学1年生」が12.7%、「中学3年生」が10.0%となった。

初めてスマートフォンを所有した子どもの学年(提供:MMD研究所)
初めてスマートフォンを所有した子どもの学年(提供:MMD研究所)
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これを小中高別でまとめると、「小学生」が51.0%と最も多く、次いで「中学生」が29.0%、「高校生」が12.8%となった。

初めてスマートフォンを購入する時期(提供:MMD研究所)
初めてスマートフォンを購入する時期(提供:MMD研究所)

また、「2022年以降に初めてスマートフォンを持った子がいる親」を対象に、子どもがスマートフォンを所持してからのトラブルに巻き込まれた経験を聞いたところ、20.1%が「トラブルに巻き込まれたことがある」と回答し、2022年と比較すると3.9ポイント増えていることが分かった。

子どもがスマートフォンを所持してからのトラブルに巻き込まれた経験・2022年との比較(提供:MMD研究所)
子どもがスマートフォンを所持してからのトラブルに巻き込まれた経験・2022年との比較(提供:MMD研究所)

これを小中高別で見ると、小学生の26.8%、中学生の13.8%、高校生の10.0%が「トラブルに巻き込まれたことがある」ことが判明した。

子どもがスマートフォンを所持してからのトラブルに巻き込まれた経験・小中高別(提供:MMD研究所)
子どもがスマートフォンを所持してからのトラブルに巻き込まれた経験・小中高別(提供:MMD研究所)

次に、子どもがトラブルに巻き込まれたことがあると回答した親を対象に、子どもがスマートフォンを所持してからトラブルに巻き込まれた内容を聞いたところ、最も多かった回答が「ゲームや有料課金サイトで大幅に課金してしまった」「LINEなどのコミュニケーションツールで既読無視されて、友人と険悪になってしまった」「不適切な写真を送るように言われたり、意思と関係なく送られてきたりした」が14.9%と、同率の結果となった。

子どもがスマートフォンを所持してからトラブルに巻き込まれた内容(提供:MMD研究所)
子どもがスマートフォンを所持してからトラブルに巻き込まれた内容(提供:MMD研究所)

さらに、2022年以降に子どもに初めてスマートフォンを持たせた親を対象に、スマートフォンに関連したトラブルを回避するために、困っていることを聞いたところ、「ルールを決めたが管理することができない」が23.9%と最も多く、次いで、「ルールを決めることが難しい」が22.3%、「正しいスマホの使い方が自分でもよく分かっていない」が16.3%となった。

また、「何をすればいいか分からない」が25.9%となり、そもそも困っている内容自体が分からない割合も多い結果となった。

スマートフォンに関連したトラブルを回避するために、困っていること(提供:MMD研究所)
スマートフォンに関連したトラブルを回避するために、困っていること(提供:MMD研究所)

今回の調査結果をみると、「スマートフォンのデビュー時期は小学6年生が最多」となり、スマートフォンを持ち始める時期が低年齢化していることが分かる。この理由としては、どのようなことが考えられるのか?
また、子どもの方がスマホの使い方に詳しい場合もあり、親が管理できていないという実態があるようだが、スマホでトラブルに巻き込まれたとき、親はどのように対処すればいいのか?

MMD研究所の担当者に“トラブル対処法”を聞いた。

「スマホを持ち始める時期が低年齢化」

――子どものスマホデビューやトラブルに関する調査を行った理由は?

2013年あたりから、子ども向けのスマートフォンが販売され(すでに「キッズケータイ」はありました)、子どもの持つデバイスに大きな変化がありました。

子どもの携帯電話の所有率と所有のニーズがあるのかを確認するために、2013年に調査をし始めたのがきっかけです。今回は7回目の調査ですが、毎回、多くの反響があり、定期的に同様の調査を実施しております。


――「スマホのデビュー時期は小学6年生が最多」。これはどのように受け止めればいい?

小学6年生までにスマートフォンデビューをしたのは、2019年に実施した調査では42.9%、今回は56.4%でした。スマホを持ち始める時期が、低年齢化していることが分かります。

低年齢化している背景としては、2つの要因が考えられます。

1つは、日本のスマートフォン所有率は9割を超え、幼少期からタブレットや親のスマートフォンなどに接触する機会が多く、子どもにとって、スマホが身近になっていること。もう1つは、子どもの居場所を把握するため、キッズケータイやスマホを持たせる親が多いことです。

子どもがトラブルに巻き込まれたときの対処法

――スマートフォンに関連したトラブルを回避するために、困っていることを聞いたところ、「何をすればいいか分からない」が25.9%。この結果は、どのように受け止めている?

親が子どものスマートフォンの使い方を把握しきれていないがゆえに、トラブル回避に対しても、4人に1人が「何をすればいいか分からない」と回答しているのかと思います。

子どもの使い方すべてを把握するのは難しく、すべてを把握する必要はないとは思うのですが、定期的に子どもと使い方や、起こりうるトラブルを話す機会を持つことがよいと考えています。

イメージ(子どものスマホ)
イメージ(子どものスマホ)

――子どもがスマホでトラブルに巻き込まれたとき、どのように対処すればいい?

2つ、事例をあげて、ご説明いたします 。

1つ目は、「ゲームや有料課金サイトで大幅に課金してしまった」場合。

まずは、消費生活センターへ相談するのがよいと思います。子どもが課金したことが証明されれば、取り消される可能性もあります。また、最寄りのキャリアショップなどでも、対応策に関して、相談にのってもらえる可能性もあります。

2つ目は、「不適切な写真を送るように言われたり、意思と関係なく送られてきたりした」場合。

学校や警察への連絡が望ましいです。相手と連絡が取れないようにブロックする設定などが不明な際は、最寄りのキャリアショップなどでも、相談してみるのもいいかもしれません。ただ、トラブルが起こる前に、起こりうるトラブルを子どもと話し合うこと、親子ともにスマホの使い方やトラブルなどについて学んでいくことが大切だと思っています。

キャリアショップなどで、定期的に親子向けのスマホ教室などが開催されていますので、そのような場に行って、学びを深める機会を持っておくことを、スマホを持つ条件として約束してもいいかもしれません。

イメージ(子どものスマホ)
イメージ(子どものスマホ)

――子どもがスマホをずっと見ていて、困っている親もいるかと思う。こういう場合、どうすればいい?

単に、「ダメだ」というだけでは険悪な雰囲気になるため、親子の間で「なぜ、長時間見ることが良くないか」「スマホを見続けると、どうなると思うか」などを話し合う機会が持つのが良いかと思います。

ルール作りに関しては、「使う場所(リビングのみなど)を決める」「使う時間を決める」などがあげられます。ルールに関しては、各キャリアがルールづくりのポイントを解説していたり、冊子を配布していたりするので、そちらのほうが詳しいかと思います。

親はそういったサービスも利用し、子どもと話し合いながら、ルールを作っていくのがよいでしょう 。

イメージ(子どものスマホ)
イメージ(子どものスマホ)

もし、子どもがスマートフォンに関連したトラブルに巻き込まれてしまったとき、対処法がすぐに頭に浮かぶだろうか。

浮かばないという人は、今回の調査で多かったトラブル「ゲームや有料課金サイトで大幅に課金してしまった場合」と「不適切な写真を送るように言われたり、意思と関係なく送られてきたりした場合」の対処法を覚え、すぐに対処できるようにしておいてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。